Blog/Opinion

顧客満足度は無意味な指標か?CSに取って代わるNPS®とは

顧客満足度は無意味な指標か?CSに取って代わるNPS®とは

投稿日:2022年9月28日/更新日:2022年9月28日

企業にとって顧客満足度は非常に重要な指標であり、顧客満足度を高めることは企業の売上に直結すると言っても過言ではありません。ただ、数年前より類似したNPS®という指標が登場し、一部では顧客満足度を計測するよりも有意義だと言われ始めました。本記事では今更聞けないNPS®について取り上げ、顧客満足度との違いやその指標としての優位性について簡単に考えていきたいと思います。

関連記事:VOCとは何か?なぜ重要なのか?-VOC 分析-

 

NPSとは

NPS(Net Promoter Score: ネットプロモータースコア)とはPromoteという言葉が示すように「顧客が他人にどれほど製品・サービスをすすめたいか」を数値化した指標です。また、顧客ロイヤリティを計測する指標であり、顧客がどれだけ企業・ブランドに対し愛着を持っているかを数値化する際用いられます。顧客ロイヤリティを計測するため、売上に直結する指標だと言え実務の場面で大いに活躍するでしょう。というのも、ロイヤリティが高いと他者に製品・サービスをすすめるだけでなく、その顧客自身高いリピート率や購入単価が期待されるため、結果としてLTV(ライフタイムバリュー)に反映されると考えられます。そのため、NPSは信ぴょう性が高く実用性に優れている指標だと言えるでしょう。

関連記事:ライフタイムバリューとは?計算方法やLTVを上げる3つの戦略

計測方法

NPSを計算するにあたり、まず複数顧客に対しアンケート調査を行います。(この際、回答者数が多い方が信ぴょう性の高い数値になります)「製品・サービスをどれだけ親しい人にすすめたいと思いますか?」という質問に対し0から10で評価してもらい、その数値によって回答者を3つのグループに分類します。0から6と答えた人は「批判者」、7か8と答えた人は「中立者」、9か10と答えた人は「推薦者」とします。これらを集計し、「推薦者」の割合から「批判者」の割合を引いた値がNPSとなります。

推薦者の割合 (%) – 批判者の割合 (%) = NPS

顧客満足度(CS)との違い

先に述べたように、NPSは顧客ロイヤリティを計測するため、顧客満足度(Customer Satisfaction: CS)とは異なります。特に、CSは一部では計測の必要はないとも言われています。というのも、たとえ顧客が製品・サービスに対し満足していたとしてもそれを他者に広めるとは言えないため、CSは売上との関係性を考えたときあいまいな指標だと認めざるを得ない部分があります。そのためCSに代わる指標としてNPSが登場したという背景があります。CSが現段階の評価を行うことができる一方で、売上に関連するNPSは未来の行動を数値化することができます。

eNPSとは

余談になりますが、類似した概念としてeNPS(Employee Net Promoter Score)があります。eNPSは従業員エンゲージメントを計測するための指標で、従業員がどれだけ職場に対し愛着を持っているかを計測します。計測方法に関してははNPSと同様ですが、従業員に対し「自分の職場を他者にすすめたいと思いますか?」という質問を行う点が違いになります。

関連記事:真の顧客は従業員?インターナルマーケティングとは

 

留意点

NPSはCSと比べても財務結果との相関が高いとされていますが、数値が高いからと言って売上が伸びない場合ももちろんあります。NPSは批判者と推薦者の割合で測るため、数値が高いからと言って必ずしも推薦者の数が多いとは限りません。批判者が少ない代わりに中立者が大部分を占めている場合もあります。そのため、信ぴょう性を持たせるためにも継続的及び定期的に測定することが望ましいでしょう。また、NPSを最重要指数として位置付けるなど頼りすぎにも注意が必要でしょう。

また、NPSはアメリカのコンサルティングファームであるベイン・アンド・カンパニー社を中心に開発されたため、日本で活用した場合予想していた値と異なる場合があります。というのも、NPSの数値は国民性に左右される部分も少なくありません。特に、日本人は1や10など極端な数値を選択することに抵抗のある人が比較的多いため、中立者や批判者が多くなる傾向にあります。そのため、日本でNPSを取り入れる場合にはその数値が想定よりも低くなることを留意しておく必要があるでしょう。

 

まとめ

今回紹介したNPSですが、CSとは似て非なる指標だと言えます。NPSでは顧客がどれだけ他者に製品・サービスをすすめたいか及び顧客ロイヤリティを計測するため、売上に相関があるとされています。そのため、売上向上におけるKPIとして利用するのも良いでしょう。一方で、今回紹介したような留意点も存在します。企業として取り入れる場合はその算出方法や割合が数値に与える影響などをしっかりと考慮しておく必要があるでしょう。

 

参考:

Bain and Company “NPS®とは

scroll