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洗濯機に広告を配信?IoT×広告に意味はあるのか

洗濯機に広告を配信?IoT×広告に意味はあるのか

投稿日:2022年9月7日/更新日:2022年9月9日

近年ではIoT(Internet of Things: モノのインターネット)技術は日々進化しており、消費者にとってより身近になってきています。IoTは生活を便利にする機器というイメージが一般的にはありますが、それだけでなくマーケターにとっても幅広い顧客情報を集められるというメリットも存在します。また、最近では技術の進化により実際にIoT機器経由で広告配信を行うケースもあるようです。本記事ではIoT×広告の最新事例について取り上げ、その効果や必要性について考えていきたいと思います。

関連記事:IoBとは?IoTとの関係性、IoBの活用事例について解説!

 

進化するIoT×広告

以前こちらの記事(デジタルマーケティングはIoT技術によって更に進化する?)でIoT機器はこれまで収集できなかった顧客データの収集が更に可能になるという話をしました。ただ、それはマーケターにとって活用できるデータ、つまりインプットが増えるというだけで、実際の広告配信はIoT家電経由では困難だと考えられている部分がありました。しかし、最近ではアウトプット、つまり広告配信を行うIoT家電も続々増えているようです。今回はIoT×広告の事例をいくつか紹介したいと思います。

シャープ洗濯機 COCORO WASH

シャープは家電メーカーの中でもIoT技術に特に力を入れており、AIoT技術を独自に推進しています。AIoTとは人工知能とIoTを組み合わせた技術で、ただ機器がインターネットに接続されているだけでなく自ら学習し成長していくシステムを取っています。この技術を搭載したクラウドサービスCOCORO WASHを活用し、シャープは2022年8月より洗濯機を用いた広告配信を開始しました。広告はCOCORO WASHに対応した洗濯機から音声で流れる他、COCORO WASHのアプリにもバナー広告やクーポンが表示される仕組みになっています。その広告第一弾としてシャープは一定の機種の洗濯機に専用洗剤と柔軟剤の無料配布キャンペーンの広告配信を行いました。

シャープ×電通 Domus Optima(開発中)

電通は過去STADIAという広告配信サービスを開発しており、今回のDomus Optimaはそれを更に強化するものになり得るとされています。STADIAはユーザーのテレビ(CTV)視聴履歴をもとにユーザーのスマートフォンやPCにパーソナライズされた広告やクーポンなどを配信する広告配信サービスです。例えば、ユーザーが外出前にテレビで遊園地などの特集を見ていた場合、STADIAはその情報をもとに外出中ユーザーのスマートフォン(DSPSNSなどのデジタルプラットフォーマー経由)に遊園地に関連した広告を表示させるなどします。もちろんこれはユーザーの承諾の上で行われます。

それに類似したサービスがDomus Optimaです。Domus Optimaはまだ開発中とされているサービスで、STADIAのようにテレビだけでなく他のIoT家電から集めた情報を広告に反映させます。これはシャープと共同で進めている広告配信サービスで、家の中にあるシャープ製のIoT家電から得たデータをもとに、ユーザーのスマートフォンやPCにそのユーザーに最適化された広告を配信するというものです。例えば、冬場に暖房の温度を高く設定しがちで電子レンジの使用回数の多いユーザーには家で調理可能な体を温めるスープの広告を配信するなどします。

 

効果

これらのようなIoT家電を用いた広告配信サービスは実際に効果があるのでしょうか。それらのメリットについて考えてみたいと思います。

高いターゲティング精度

IoT家電から得たデータをもとに配信された広告はマスメディアを使った広告や一般的なデジタル広告などよりもターゲティング精度が高いと言えます。宣伝する製品・サービスによりますが、例えばテレビCMだと特に届いてほしくない層にも広告は配信され、一人当たりのコンバージョン率は低くなってしまう場合があります。一方で、今回紹介したようなIoT家電を用いたものでは明確な需要を持った一人のユーザーに対しアプローチを行うため高いターゲティング精度があると言えます。

その瞬間の需要にアプローチ

また、ターゲティングに関連したメリットですが、IoT家電を用いた広告配信はユーザーが需要を持ったその瞬間にアプローチを行うため高いコンバージョン率を持ちます。例えば、今回紹介した洗濯機だと丁度洗剤が少なくなってきたときに広告を配信したり、またDomus Optimaだと丁度寒くなってきて暖房の温度を上げていたときにスープの広告を配信したりするため、ユーザーはついつい広告経由で購入してしまう場合が多いでしょう。需要が生まれたその瞬間に広告を配信することで、競合他社からその「機会」を奪われないようにすることができます。

目、耳に入りやすい

更に、今回紹介したように洗濯機などのIoT家電から配信される広告はユーザーの目、耳に入る確率が高いと言えます。需要があるから見てしまうという点もありますが、洗濯機の例の場合スマートフォン上で操作を行うため、その際に表示されるバナー広告は必然的に高い確率で目に入り、更に繰り返し表示されるため視聴回数も多くなるでしょう。

 

まとめ

最近は脱Cookieの時代になってきており、顧客データの収集方法で頭を悩ませるマーケターが多いです。その中で、IoT機器はデータ収集における新しい手法として近年注目されています。今回紹介したシャープ洗濯機のようなIoT家電はデータを収集するだけでなくそれを瞬時に広告としてアウトプットを行います。このような広告配信サービスはこれまでありそうでなかったサービスだと言えますが、高いターゲティング精度やタイムリーな需要へのアプローチなどのメリットから今後増えていくと考えられます。今後とも注目していきたい業界だと言えます。

 

参考:

IT Media “シャープ製IoT家電の利用状況を分析、広告配信に活用 電通が新サービス

Yahoo! News “シャープ、洗濯機に広告を配信できる新サービス–音声で新商品を告知

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