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ナイキvsアンダーアーマー、コロンビアvsパタゴニアから見る価値観マーケティング
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ナイキvsアンダーアーマー、コロンビアvsパタゴニアから見る価値観マーケティング
ナイキvsアンダーアーマー、コロンビアvsパタゴニアから見る価値観マーケティング
何年にもわたって、多くの企業がそれぞれの形で良い社会への貢献を目指してきました。そのような利益追求を超える企業の存在意義やミッションは、コロナウイルスによるパンデミックの影響を受け、ますます必要とされています。様々な企業がある中で、BtoC、つまり一般の消費者を顧客とする企業は、企業の社会貢献を達成するためには、顧客の持つ価値観を深く分析し理解する必要があります。
なぜ価値観がマーケティングに必要か
マーケティング調査会社と連携して消費者心理の研究を行うアメリカの心理学者 Thomas Lacki博士は消費者の購買行動について次のように語っています。
「消費者の個人の価値観から形成されるレンズを通して、ものごとを見ています。つまり価値観は、その人の物事の優先順位を反映し、意思決定を助け、行動を促します。簡単に言えば、価値観には、それぞれの消費者がモノを買うときの背景にある理由—なぜ買うのか―の真意がつまっているのです。それは、マーケターが顧客の消費心理の中心を把握する上で必要不可欠です。」
顧客の価値観を理解するためには
・マーケティングで強いアイディアを生みだす方法:「N1分析」
米国のマーケティング調査会社、ResonateのCMOであるEricka MacCoy氏は、
「多くの企業が自社の持つ内部データのみに基づいて、顧客の持つ価値観に関して広範囲な推測を立てています。企業の内部データは、顧客が自社のブランドでショッピングする時のみを分析するもので、対象となる顧客層も限られています。しかしながら、実際には人間の価値観の次元は様々な顧客層・購買行動を跨いでいます。」
多くの企業は、顧客のデモグラフィッ(人口統計学的)やジオグラフィック(地理的)、サイコグラフィック(心理的)な属性に関するデータを収集分析して、顧客プロファイリングを行っています。これらのデータによる顧客の行動を分析する方法は、伝統的手法とされています。
これに対して、MacCoy氏は人間が持つそれぞれの価値観から形成されるレンズを通して、消費者の行動を分析しようとする新たな手法が効果的であると述べています。このような価値観のレンズを理解することで、一人一人の顧客やより詳細に分けられたセグメントのニーズや行動パターンなどに合った顧客体験や販促メッセージを行うことが可能になります。
顧客の価値観の分析によって、マーケティング施策をより最適化できる一例として、ポイント制の顧客ロイヤルティプログラムが挙げられます。購入金額によって割引として使えるポイントが付与されるシステムは、多くのブランドが採用しています。しかし、顧客にとってそのポイントはどれほどの価値があるのでしょうか。ある調査結果によれば、割引として使えるポイントが付与されることよりもそのポイント分の金額が環境問題などのために寄付されることの方が、ブランドに対するロイヤルティの増加につながると感じる顧客が多いという実態が分かっています。
顧客の様々な特徴から購買行動を分析する伝統的な手法は、このような細かくとも大きな影響をもたらす価値観の差異を見逃してしまっているのです。
☞顧客分析に関する記事はこちら
顧客の価値観とは?類似ブランドの顧客層の対比から見える本当の価値観とは
Nike vs. Under Armour
表明的には、この2つのブランドは両方ともアスリートを対象として、それらの顧客は運動を日常的に行う以外にも、食事管理や生活習慣など多くの共通点があります。一方で、いくつかの価値において、また大切にする価値観の優先順位においては、大きく異なります。
ナイキの顧客は、平等や多様性、社会正義を最も大切にする価値観として挙げています。これらの要素は、ナイキのマーケティングにおいても重要なテーマとなっています。一方で、顧客の半分以上が女性であるアンダーアーマーの顧客の持つ価値観は、伝統的であり、家族や友人との繋がり、スピリチュアルを中心としています。
Columbia vs. Patagonia
アウトドアアパレルを販売するブランドである、コロンビアとパタゴニアの顧客は感動や興奮が得られるアウトドア体験を求めている点で共通します。しかし逆に言えば、それだけしか共通していないと言えるかもしれません。2つのブランドに求められる価値観は、実際にそれほど大きな違いが存在します。
コロンビアを好む顧客には、権力や創造力、自由という価値観をもっている人が多いとされます。冒険的で、活動の指揮をとったり、リスクを冒す意欲があるという特徴がみられます。パタゴニアの顧客は、それほど権力は求めない代わりに、自律という価値観を強く持っています。さらに、自然に対する愛や尊敬、また環境問題への強い意識を抱いています。
参考:Forbes “Finding Corporate Purpose In Customers’ Values with Nike, Under Armour, Patagonia, and Columbia” / Pamela N. Danziger (https://www.forbes.com/sites/pamdanziger/2020/09/09/finding-corporate-purpose-in-customers-values-with-nike-under-armour-patagonia-and-columbia/?sh=629d2eec295a)
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