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マーケティングにおけるパーソナライゼーションは嘘なのか

マーケティングにおけるパーソナライゼーションは嘘なのか

投稿日:2021年5月19日/更新日:2021年6月22日

近年、多くのブランドが顧客に関する様々なデータを集めています。その目的は、顧客一人一人、それぞれのニーズに合わせた商品やサービスを提供すること。これがパーソナライゼーションです。しかし、このパーソナライゼーションで私たち個人のユニークなニーズは把握されているのでしょうか。

ブランドが言う、パーソナライゼーションはマーケティングの戦略と言うよりは、単なる流行語になっているだけかもしれません。なぜなら、今のところマーケティングにおけるパーソナライゼーションは、顧客の購入履歴や他ユーザーの購買行動、または密かに収集されたサードパーティーデータによって可能になっています。

ネットフリックスでアベンジャーズを観れば、その続編が次に観る作品としておすすめに表示されます。また、SpotifyでTaylor Swiftの楽曲を聴けば、他のTaylor Swiftの人気曲がユーザーのデイリーミックスプレイリストの中に現れます。

これは、そのユーザーの興味や行動に合わせて選択され、作られ、パーソナライズされたものだと思ってしまうかもしれません。しかし、実際は違います。

これらは、ユーザーの行動に関するデータを追跡し、行動パターンに合致するようなコンテンツをおすすめする簡単なアルゴリズムによって導かれていますが、アルゴリズムは、そのユーザーと同じような行動パターンを持つ他のユーザーの活動を基に、おすすめするコンテンツを決めています。

例えば、もしTaylor Swiftを聴く他のユーザーの多くが、合わせてBruno MarsやMiley Cirusを聞いていれば、ユーザーの嗜好に関係なく、Bruno MarsやMiley Cirusの曲が自動でおすすめされるのです。

しかしながら、実際にはユーザーの行動や興味はもっと複雑です。同じような特徴が1つ2つあるユーザーをひとかたまりにして、同じように扱うシステムでは、顧客一人一人に合わせた本当の意味でのパーソナライゼーションとは言えません。

例えば、ディズニー映画をよく観るというユーザーは、「ディズニー映画好きユーザー」としてひとかたまりにまとめられ、その中で多く見られる行動パターンに沿っておすすめが決定され、表示されます。しかし、中には「アナと雪の女王」は好きでも、「トイ・ストーリー」は興味ないというユーザーもいるかもしれません。ユーザー個人の細かい興味や行動パターンは反映されないことがほとんどです。

参考:Adage “Everything You Thought About Personalization Is A Lie” / Richard Jones (https://adage.com/article/cheetah-digital/everything-you-thought-about-personalization-lie/2218461)

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