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話題のポイ活アプリ「Miles」、その戦略とは

話題のポイ活アプリ「Miles」、その戦略とは

投稿日:2021年11月11日/更新日:2021年11月11日

2019年にアメリカでリリースされ既に140万人ものユーザーに利用されているアプリ「Miles」が2021年10月より日本でもリリースされました。簡単に説明すると移動するとその分ポイントが付与されるというポイントアプリで、これまでのポイントアプリと違いシステムの単純さなどから日本でも既に30万人以上のユーザーに利用されています。本記事では現在注目されているMilesの仕組みと戦略について深堀していきたいと思います。

 

Milesとは

Milesとは前述の通りアメリカでリリースされたアプリで、1マイル(およそ1.6km)歩くごとに1マイルずつポイントが付与されるというポイントアプリです。付与されたポイントはファミリーマート、JALグループ、JRグループ、Amazonなどで利用可能なクーポンに引き換えることができ、移動するだけでポイントが貯まるという非常にお得なサービスになっています。使い方としてはアプリを入れてアプリによる位置情報へのアクセスを許可するのみとなっており、非常にシンプルです。

もう一つの特徴は移動手段によって付与されるポイントが異なるという点です。Milesのコンセプトとして「エコ」が挙げられ、環境に配慮した移動手段を選択した場合付与されるポイントが数倍に増えるシステムになっています。例えば、車で移動した場合にはポイント1倍ですが、自転車の場合には5倍、徒歩の場合には10倍となっています。移動手段はアプリ内のAIが自動で判別するシステムとなっています。

また、ランクシステムも取り入れており、月間の貯めたマイル数に応じて次月のランクが決定します。ランクに応じてクーポンの引き換え額が変化するなど、やり込み要素も充実しており顧客ロイヤリティの向上が見込まれます。

 

一見ユーザーに無料でポイントを与えているためビジネスとして成り立っていないように見えますが、利益は提携している法人から得ているようです。加盟店から加盟料を貰う代わりに店舗に訪れる顧客の数を増やしてあげるというビジネスモデルを取っています。

 

戦略

Milesの売り出し方及びマーケティングの側面をを見ると、売り出しているコンセプトは主に2点あることが分かります。まず、「移動だけでポイントが貯まる」という点です。これまでのポイントアプリではポイントを付与してもらうには何らかの消費活動を行うことが前提とされていましたが、Milesではそれが必要なく非常に革新的なサービスとなっています。「移動だけでポイントが貯まる」というメッセージは非常に端的で、Milesの広告を見ても一目でサービス内容を把握できます。

2点目は「環境にやさしい」という点です。近年では特に環境への配慮は重視される項目であり、時代に合ったサービスであると言えます。また、特に若年層は環境問題を気にしている傾向が強く、街中で消費を行うボリューム層とターゲットの重なりがあり相乗効果を生んでいると言えます。

 

また、Milesはアメリカで最初にリリースされ、日本はアメリカに次いで2国目のマーケットとして選ばれました。この主な理由は日本のポイント好きな国民性にあるとされています。コンビニなどで買い物をする際にポイントカードの有無が必ず聞かれるように、ポイント文化が日本には根付いており、米Milesの創始者も日本に訪れた際可能性のあるマーケットだと判断したそうです。

一方で、アプリ使用時には位置情報を常にオンにする必要があり、セキュリティなどの面で不安になる問題があります。これに対しMiles側はメディアなどでもセキュリティに関する心配はいらないとしており、積極的に安全性を訴えています。このような取り組みは特に安全性を気にする日本の国民性にも沿った対応であると言えます。

 

まとめ

2022年ヒット予測1位にも選ばれたMilesですが、適切なマーケティング活動を行っており日本でも好調のようです。特にターゲティングの面では日本という市場をうまく活用しており、若年層を狙う戦略も適切だと言えます。

しかし、類似アプリも存在しもし今後更に増えてくると差別化の必要がでてきます。例えばほとんど同じサービスをMilesよりも早く日本で開始した「トリマ」が競合として挙げられます。Milesにはアメリカでの実績をベースにしたブランド力がありますが、リリースがやや遅れたことが足を引っ張ることもあるかもしれません。サービスの強化もそうですが、ブランド力をいかに活かすことができるかが今後のカギとなってくるかもしれません。

 

参考:

engadget “移動するだけでマイルが貯まる「Miles」日本上陸、コンビニやJALの特典などと交換可能

IT Media News “スマホを持って移動するだけでポイント付与「Miles」が成り立つのはなぜ?社長に聞いた

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