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オンライン広告におけるよく使われる指標の解説と算出
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オンライン広告におけるよく使われる指標の解説と算出
オンライン広告におけるよく使われる指標の解説と算出
日本ではDX化が徐々に進んでいることを背景に、オンライン広告の市場シェアと市場規模が著しく成長している。電通の調査によると、2022年の日本のオンライン広告費は2021年比で114%増加した。
2023年のオンライン広告費は前年比112.5%の2兆7,908億円まで増加すると予測されている。
オンライン広告とは?
オンライン広告は、インターネット上で製品やサービスを宣伝するための広告形態だ。これは、検索エンジン、ソーシャルメディア、ウェブサイト、アプリケーションなど、さまざまなオンラインプラットフォーム上で実施されている。インターネット広告とも呼ばれる。具体的な広告種類は、検索エンジン広告、静止画広告、動画広告、プレイアブル広告など、テクノロジーやクリエイティビティの発展とともに広がりつつあるが、大きく分けるとウェブサイト広告とアプリ内広告の2つに分類できる。
オンライン広告の利点としては、ターゲット客層に効果的にアプローチできること、リアルタイムでデータを分析し最適化できること、比較的低コストで広告キャンペーンを開始できることなどがある。一方で、プライバシー保護やアドフラウドなど数多くの課題も存在する。
このブログでは、オンライン広告の効果を評価するための一般的な指標とその算出方法に焦点を当てる。
よく使われる指標の解説と算出(8選)
CPM (Cost Per Mille)
CPMは広告が1,000回表示されるごとに発生する費用を示す。FacebookとX(Twitter)は、主にCPMで課金する代表的な広告プラットフォームだ。
算出方法は以下の通り:
CPMは、主にディスプレイ広告やソーシャルメディア広告などで使用されている。広告表示の初期段階で観察できるデータの一つであるため、広告主がユーザーのクリックやコンバージョンなどの具体的なアクションが発生しなくても、市場の変動や単価を推測できる。
CPC (Cost Per Click)
CPCはクリック単位あたりの費用を示す。Google Adsは、主にCPCで課金する代表的な広告プラットフォームだ。
算出方法は以下の通り:
CPCは、クリックされるごとに発生する表示コストのため、CPMと同じく、その後のすべてのユーザーアクションが発生する前提となっており、クリエイティブの優劣を反映することができる。 より魅力的なクリエイティブほどCPMやCPCが低く、最終的なコンバージョン単価も低くなる傾向にある。
CPA (Cost Per Action)
CPAは、特定のアクションやコンバージョン(例: 購入、ダウンロードなど)を達成するごとに発生するコストを示す。オンライン広告の課金方式の一つでもある。Apple Search Adsは、主にCPA(アップルストアではCPT、Cost per Tapとも呼ばれる)で課金する代表的な広告プラットフォームだ。
算出方法は以下の通り:
CPAは広告主にとって最も重要な成果の数値の一つであり、顧客獲得コストの指標とみなされることが多い。後述するCPIもCPAに含まれる。
CPI (Cost Per Install)
CPIは、モバイルアプリケーションのインストールごとに発生するコストである。課金方式の一つでもあり、主にモバイルアプリのダウンロード促進やユーザー獲得を目的とする広告キャンペーンに使用されている。アプリのインストール数を目標としている広告主にとって特に重要である。
算出方法は以下の通り:
CPIを最適化するためには、広告のターゲティングやクリエイティブの質を向上させ、ユーザーを引き寄せる戦略を検討することが一般的である。また実際には、テレビCMなどのブランディング広告と組み合わせてCPIを下げるモデルもある。 根底にあるのは、ユーザーの認知度を高めた上で、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)を高めることができるというロジックだ。
CTR (Click Through Rate)
CTRは、広告が表示された際に実際にクリックされる確率を示す。広告がユーザーの関心を引くかどうかや広告の効果を評価するために使用される指標である。
算出方法は以下の通り:
通常、パーセンテージとして表される。
CTRは広告の品質や効果を評価するだけでなく、検索エンジン広告や一部のソーシャルメディア広告ではランキングや表示順位にも影響を与えることがある。高いCTRを維持することは、広告やSEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)のパフォーマンス向上につながり、広告主にとっては望ましい結果である。
CVR (Conversion Rate)
CVRは、広告がクリックされた後に特定のアクション(コンバージョン)が行われる確率を示す。
算出方法は以下の通り:
実務上、コンバージョンはログインや購入など、比較的深いユーザー行動を指すことが多い。CVRは特定のコンバージョン目標に基づいて計算されるため、異なる広告キャンペーンやウェブページで異なるCVRが生まれる可能性がある。ユーザー向けのプロセスが多ければ多いほど、通常コンバージョン率は低くなる。 これはファネルの原理と似ている。
ROI (Return on Investment)
ROIは、投資に対する利益を評価するための指標で、特定の投資がどれだけ効果的であるかを示す。ROIはさまざまなコンテキストで使用されている。オンライン広告におけるROIは、オンライン広告にかかった費用とその広告から生じた利益との比率を示す重要な指標である。
ROIは、以下のように算出される:
プロモーションの後半になればなるほど、ROIの要求水準は高くなる傾向にある。
LTV (Customer Lifetime Value)
オンライン広告におけるLTVは、広告を通じて獲得した顧客・ユーザーが、製品やサービスを一定期間に利用することで 企業にもたらされる総収益のことである。
LTVの算出方法は多岐にわたるが、基本的な式は以下の通り:
ここで、各項目は以下の意味を持っている:
平均購買額: 顧客が1回の取引で平均的に支払う金額。
平均購買頻度: 顧客が一定期間内に平均的な購買回数。
顧客の平均生涯: 顧客が製品やサービスを利用し続けると予測される平均期間。
顧客獲得コスト: 企業が新たな顧客をオンライン広告を通じて獲得するためにかかる総費用。
オンライン広告におけるLTVの計算は、特にデジタルマーケティングの進化とデータ分析技術の向上により、より複雑で緻密なものとなっている。データ分析ツールや広告プラットフォームのデータを駆使して、顧客の行動パターンや収益の予測を行い、それに基づいてLTVを算出することが一般的である。そして、ユーザーの平均利用期間をどのように決定するか、もしくはどの期間でLTVを計算するかによって、結果は異なる。 モバイルアプリケーションのユーザー利用期間は、数ヶ月という短い期間から数年という長い期間まである。
まとめ
オンライン広告の範囲は広く、製品やサービスのプロモーションだけでなく、ツイートの発信や YouTube チャンネルへの投稿などのコンテンツマーケティングもオンライン広告の一部である。
マーケティングの目的によって採用する広告の種類やキーとなる指標は異なるが、上記の指標を理解することは基本である。 実際の市場分析においては、各指標を合理的に捉え、結果に影響を与える様々な要因の変化や内的・外的要因を常に念頭に置く必要がある。
参考:
- https://www.dentsu.co.jp/news/release/2023/0314-010594.html
- https://dmlab.jp/words.html
- https://www.onemarketing.jp/contents/funnel-re/
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