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デジタルツインはマーケティングで活用可能か
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デジタルツインはマーケティングで活用可能か
デジタルツインはマーケティングで活用可能か
デジタルツインは近年注目が集まっている技術の一つです。主に製造業や都市開発などの場面で用いられている技術ですが、最近では「人のデジタルツイン」という考え方も登場しており、今後マーケティングにおける利活用も期待されています。本記事では改めてデジタルツインとは何か、またその技術がどのようにマーケティングのあり方を変え得るか考えていきたいと思います。
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デジタルツインとは
デジタルツインとは、ツイン(双子)という言葉が示すように、仮想空間上に現実世界のものを双子のように再現する技術のことを指します。IoTなどを利用して現実世界から膨大な量のデータを収集し、それらを仮想空間上で緻密に再現し、AI等の技術を用いてシミュレーションや分析を行います。分析結果などは現実世界にほぼリアルタイムでフィードバックされ、現実世界の改善に役立てられます。この技術は近年様々な場面で応用され、市場も今後拡大していくことが予想されています。
例えば、建設業の場面では建設前に建物の完成予想モデルをデジタルツインで作成するなどして活用されています。事前に緻密なモデルを作成しておくことで、建設時の課題解決に繋がります。効率的な建設ができるだけでなく、風に吹かれたときの影響を再現できるなど、安全性の確保にも活用できるでしょう。その他にも、建設が終わった後に現実の建物とIoTを用いてペアリングすることで、遠隔で建物を監視したり指示を出したりがほぼリアルタイムで可能です。
シミュレーション、メタバースとの違い
デジタルツインと混同されがちな概念としてシミュレーションとメタバースが挙げられます。まず、デジタルツインはシミュレーションの一つの形と言えます。シミュレーションは決して仮想空間上で行う必要はなく、対象物をデータを用いてそこまで緻密に再現する必要も決してありません。また、デジタルツインはリアルタイム性が高いという特徴がありますが、全てのシミュレーションそうである必要もないでしょう。
次に、メタバースとの違いは「どこに焦点を当てているか」だと言えます。デジタルツインがシミュレーションに焦点を当てている一方、メタバースは他者とのコミュニケーションに焦点を当てており、利用の目的がそもそも異なると言えます。また、デジタルツインは現実世界のものを仮想空間上で再現することにこだわっている一方で、メタバースは決して現実世界の再現である必要はないでしょう。
人のデジタルツインとは
デジタルツインでは「物体」を仮想空間上に再現することを主としていましたが、最近では人のデジタルツインも登場しています。医療現場などでは物理的な人体のデジタルツインを用いて実験やシミュレーションを行いますが、人の内面、心理的要素のデジタルツインも登場しており、ここではそれについて取り上げたいと思います。
人のデジタルツインは人の感性、嗜好、技能などを仮想空間上に再現する技術です。その人が実際にその場(現実空間)にいなくても対話ができたり、シミュレーションを通し「その人だったらどうするか」といった情報を集めることができます。その人が会話している様子や意思決定をしている様子をAI等技術を用いて蓄積及び分析し、それを仮想空間上にフィードバックするという方法で行われます。
マーケティングにおける活用法
人の外面的要素のデジタルツインは服の寸法などの場面で役立つことはもちろんですが、内面的要素のデジタルツインもマーケティングにおける利活用が期待されています。というのも、人の価値観などを仮想空間上に再現することで、その人の意思決定のシミュレーションを仮想空間上で行うことができるようになるからです。そのデジタルツインをペルソナとして活用することで、適切なマーケ施策を考案することができるでしょう。例えば、「どのような宣伝文句がコンバージョンに繋がるか」や「どのようなキーワードに惹かれるか」などを事前に試すことができます。また、個人をデジタルツイン化していくことで最終的には集団の情報化が可能になり、より汎用的な活用が期待できるでしょう。
まとめ
今回紹介したデジタルツインですが、年々技術は向上しており今後とも更なる活用が期待されています。特に、人のデジタルツインに関してはまだまだ発展途中の技術であり、様々な課題を抱えています。現時点では人の脳の機能を完全に再現することは難しく、価値観や思考を仮想化するのは至難の業です。ただ、実現されると様々な場面で活用でき、消費者としても自分達自身でも気付いていなかった潜在的需要を発見することにも繋がるでしょう。今後とも目が離せない業界の一つと言えます。
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