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U-NEXT×Paravi、相次ぐ国内動画配信サービス提携の目的は
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U-NEXT×Paravi、相次ぐ国内動画配信サービス提携の目的は
U-NEXT×Paravi、相次ぐ国内動画配信サービス提携の目的は
2023年2月17日、U-NEXTはParaviと3月31日付で経営統合すると発表しました。この他にも、1月にはTVerとZホールディングスが業務提携を行うと発表しており、今年に入り国内大手動画配信サービスの存在感が強まっています。本記事ではこの二つの事例を取り上げ、それぞれの目的や、それぞれのサービスが今後どのように変化していくのかについて考えていきたいと思います。
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U-NEXTとParaviの経営統合
前述のように、有料動画配信サービスU-NEXTを提供するUSEN-NEXT HOLDINGSはParaviを提供するプレミアム・プラットフォーム・ジャパンと3月31日付で経営統合すると最近発表し、注目を集めています。元々TBS、テレビ東京、WOWWOWの合同動画配信サービスとして2018年に立ち上げられたParaviですが、2023年7月頃を目途にそのままU-NEXTのサービス内に取り込まれるようです。国内最大級のVODサービスのU-NEXTですが、今回の経営統合を通し更に規模が大きくなり「売上高800億円以上、有料会員数は370万人以上、配信コンテンツ35万本以上の、国内勢では最大の動画配信プラットフォーム」になるとされています。
今回の経営統合は海外VODサービスに対する対抗策とも読めるでしょう。国内においてもNetflixやAmazon Primeなどの海外VODサービスが非常に強く、国内VODサービスはどうしても海外サービスについていく形になってしまっています。そこで、発表にもあったように両者は経営統合を通し「両者の強みを活かしシナジーを生み出す」ことで海外勢力に立ち向かおうとしていると考えられます。
コンテンツ面ではU-NEXTが元々得意とする映画、アニメ、ドラマなどに加えParaviのテレビ関連コンテンツなどが視聴可能になる他、オリジナルコンテンツも強化していくようで幅が広がることが予想されています。これはParaviとしても、近年テレビ見逃し配信サービスで存在感を増しているTVerに立ち向かうことが可能になるため、win-winな経営統合と言えるでしょう。
また広告関連の面でも、プレミアム・プラットフォーム・ジャパンは株主に各テレビ局だけでなく、電通グループや博報堂DYメディアパートナーズもいるため、動画配信を活用した広告活動が活発化することが予想できます。更に、U-NEXTは動画だけでなく電子書籍などにも最近は力を入れているため、動画コンテンツとの垣根を超えた広告配信も行われるかもしれません。例えば、電子漫画にその映画化した作品の広告を挟んで映画に誘導したり、その逆を行ったりも可能になるでしょう。
TVerとZホールディングスの業務提携
時系列としては少しさかのぼりますが、2023年1月に株式会社TVerとZホールディングス株式会社、及びZHDグループのZ Entertainment、Yahoo!、LINEは業務提携を結びました。U-NEXT×ParaviのようにVODサービスどうしではない業務提携ですが、今後どのように連携を図っていくのでしょうか。特に、ZホールディングスはTVerの競合にもあたるGYAO!を1月まで運営し(現在はサービス終了)、これからは縦型ショート動画サービスLINE VOOMに動画コンテンツを集約すると発表していたこともあり、提携の目的があまり想像つきません。
どのように業務提携を行っていくのかについて詳しくは説明されていないものの、Zホールディングスは「広告分析ソリューションの共同開発や各社のサービス成長に向けた施策連携に加え、販促領域における共同広告商品の開発や、TVerとZHDグループのサービスにおける複合企画の実施など、連携の強化に資する取り組みを検討していく予定」と発表しています。つまりは、映像コンテンツなどよりもマーケティング的な側面で協力を図っていくようです。
ZHD視点で見たとき、業務提携は競合と渡り合うための一つの術だったと言えます。例えば、先に挙げたLINE VOOMはTikTokなど非常に強大なサービスと競っていく必要があるため、何かしらの武器を持つ必要があるでしょう。そこでYahoo!と既に繋がりを持つZHDは年齢層を考慮したときにもTVerとも相性が良く、広告経由でZHDが提供するサービス内でユーザーを回していくことができるようになると言えます。TVerとしても同様にZHD側の資源を活用しユーザーの利用を促進することができるでしょう。
今後の動画配信サービス市場 / まとめ
近年では海外、国内ともにVODサービスがどんどん増えており、海外における市場の成長率を見ても飽和状態にあることが分かります。その中で、最近ではNetflixやAmazon Primeなどのサービスが覇権を取りつつあり、国内のサービスはそれを見て統合を進めていると言えます。例えば、Paraviはテレビに特化した差別化要素を持つものの規模で見るとそこまで大きくはなく、国内最大級のU-NEXTと経営統合しました。また、統合が進むことはユーザーとしても利便性が向上するため嬉しいこととも言えるでしょう。
今回紹介した国内VODサービスの経営統合と業務提携のケースですが、今後更に企業間の連携は増えてくるかもしれません。特に、海外勢力は規模を増しており、最近ではTikTokがCTVに進出してきているなど縦型ショート動画市場も活気づいてきています。国内VODサービスの市場を把握するためには海外の市場からも目を離さないでおきたいでしょう。
参考:
Yahoo!ニュース “U-NEXT とParaviが統合へ、国内有料配信サービス最大規模に”
Zホールディングス株式会社 “TVerとZホールディングスグループ、業務提携に向け基本合意“
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