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民放局が「 放映権 」を買えない?高すぎる放映権問題
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民放局が「 放映権 」を買えない?高すぎる放映権問題
民放局が「 放映権 」を買えない?高すぎる放映権問題
近年、サブスクライブ型の動画配信サービスが勢力を拡大しています。
ドラマや映画を商品とするNetflixなどが有名ですがスポーツ放送においてもサブスク型配信が展開され始めています。
先日行われたサッカーカタールW杯アジア最終予選第3節、サウジアラビア代表vs日本代表は地上波や民放での放送はなく、DAZNが独占ライブ配信を行いました。
つまりサウジアラビア戦がライブ視聴できるのはDAZNだけとなりました。
これはAFC(アジアサッカー連盟)が試合のテレビ放映権を値上げしたため、民放局がアウェー戦の放映を断念したことが原因です。
テレビとアンテナさえあれば、放送されている番組を誰でも見ることができた時代からケーブルテレビ、サブスクライブ型動画配信サービスなど、放送のスタイルが多様化される時代となりました。
今回、日本の代表戦のアウェイゲームが地上波放送されることはありませんが、世界の他の国では手段で観戦しているのでしょうか?
世界の放送手段
イギリス
イギリスでは、スポーツは公共の財産として認識されています。
国民からの関心を大きく集める大会は、貧富の差にかかわらず公平に視聴できるようにしなければいけない法律があります。
それに基づき、国民の95%が無料でアクセスできるチャンネルで放送しなければならないと明記されています。
この分類ははAとBの2つのカテゴリーから構成された「クラウン・ジュエル」と呼ばるリストにまとめられています。
カテゴリーA は生中継を無料放送チャンネルで配信することが義務づけられています。
オリンピック、サッカーW杯、テニスのウィンブルドン決勝、ラグビーW杯決勝などがこれに含まれます。
カテゴリーBは録画・ハイライトを無料放送チャンネルで配信することが義務づけられています。
クリケットのメジャー大会やゴルフの全英オープン、世界陸上などが含まれる。
W杯ヨーロッパ予選はこのリストには入らないが、W杯と変わらない関心の高さを持ちます。
そのため代表戦はホーム、アウェーにかかわらずITVとITV HUBで放送されています。
イタリア
イタリアでは1993年まで、サッカーのリーグ戦を生放送していませんでした。
しかし、代表戦だけは国営放送のRaiにより昔から中継を行い続けています。
イギリスと同様にイタリアでも法律により、「国を代表するチームが戦うというのに、国民が自由に見ることができないのはおかしい」という理由の基、無料の地上波での代表戦の放送を義務づけられています。
国内リーグ戦のセリエAやチャンオピオンズリーグなどの中継は、スカイスポーツやDAZNなど放送媒体が転々としますが、代表戦だけは国営放送のRaiによってのみ放送されています。
その他のヨーロッパ各国
その他のヨーロッパ各国でも基本的に自国の代表戦は無料のチャンネル放送されています。
スペインでは国営放送のTVEと民放のMediaset、フランスでは民放のTF1とM6、ドイツも民放のRTLで放送されています。
これには2011年にFIFAがイギリスとベルギーで、「政府がW杯の放送を無料チャンネルで行なうよう強制している」として提訴した裁判の判決が大きく関わっているようです。
しかし、判決は「W杯やヨーロッパ選手権など公共性の高い試合を有料放送局が独占することを、EU各国は禁じることができる」というものとなりました。
これは事実上、各国の無料放送にへの推奨となりました。
アルゼンチン
南米のアルゼンチンでも代表戦はすべて地上波のTV Publicaが放送しています。
有料のTyC SportsもTV Publicaから権利を買って放映していますが、あくまでサブチャンネルの扱いであり、解説者や画質の好みなどで選択する人もいます。
前政権の政策として「フットボル・パラ・トドス(サッカーを皆に)法」と言う法律により、リーグ戦もすべて無料放送しなければいけない時期がありました。
これは現在ではなくなりましたが、代表戦に関しては現在も「視聴覚通信サービス法」という法律により無料放送が義務付けられています。
この法律はイギリスと同様の内容つまり、「国民が大きな関心を集めるイベントに関しては、人々はそれに自由にアクセスする権利を持っている」とされています。
ブラジル
ブラジルでは30年間、最大手民放グローボが地上波で代表戦を放送していますが、法律による定めはありません。
つまり有料放送に代わる可能性はゼロではないですが、ブラジルのジャーナリストによるとその可能性はほぼ無いです。
ブラジルは経済状況が良くない人も多く、有料化に伴い多くの人が加入する状況ではないためです。
「加入したひとつの有料放送を近所の友人、知人がみんなで見ることになるのは明らか」という推測です。
有料放送ではサブスクライブで支払われる登録費が収入源となる為、この状況はビジネスとして好ましくありません。
つまり、大幅な加入者増が見込めないならば、ビジネスとして成立させることが難しく、それならばすべての人が見られる無料放送をした方が良いということになります。
今回のW杯アジア予選を通じて放送の仕方が少し変化してきました。
しかしこの変化はポジティブな変化なのでしょうか?
国を代表して戦うチームを限られた人のみが有料で視聴する構図は本当に正しいのでしょうか?
今後も動画の配信・視聴方法は多様化し、高騰を続ける放映権をめぐるビジネスもさらに活発になっていくことが予想されます。
もう一度正しい方向性を模索し発見する必要があるような気がします。
参考:サッカー日本代表の「サウジアラビア戦を観る権利」とは? 世界は母国のW杯予選をどう視聴しているか (2021年10月6日) – エキサイトニュース (excite.co.jp)
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