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人の購買意欲をコントロール? -チャルディーニの法則-

人の購買意欲をコントロール? -チャルディーニの法則-

投稿日:2021年7月6日/更新日:2023年2月27日

マーケティング活動を行う上で、人の行動原理つまり心理を読み解くことは非常に重要です。そのため、マーケティングと心理学は切り離せない関係にあり、マーケティング心理学という学問領域も存在します。例えば、カラーマーケティングは色を用いて顧客の心を刺激し、購買意欲を引き出します(カラーマーケティングに関する記事はこちらから)。

様々な学術的研究がある中で、今回は社会心理学者であるロバート・チャルディーニ氏の提唱したチャルディーニの法則について解説したいと思います。人が決断を行うにおいて、チャルディーニの法則では6つの要素が存在するとしており、今回はそれぞれの解説に加えそれらがどのようにマーケティングに応用できるか考えていきます。

 

チャルディーニの法則とは

チャルディーニの法則とはアメリカの社会心理学者ロバート・チャルディーニ氏が1984年に著書『影響力の武器』で提唱した概念であり、人が決断を行う際には一定の条件が存在するという法則です。この法則はマーケティングの他にも交渉や部下の管理の際など、人と関わるとき全般に応用できる法則です。以下が法則における6つの要素で、これらをうまく利用することで人を「動かす」ことができるとされています。

返報性(Reciprocation)

何かを貰うと何かを返さないといけないと感じる心理。ものに限らず、人は誰かに何かしてもらうとそのお返しをしたくなる(しないとどこか居心地が悪くなる)という性質を持つ。

例えば、顧客に無料でサービスを一度提供することで「実際に買った方がいいかもしれない」というような考えを持たせることが可能です。スーパーなどにおける試食もこれに当たるでしょう。

一貫性(Consistency)

自分の言動に一貫性を持ちたいと感じる心理。人は一度口に出したり一度一定の行動を取ると、他者からの目も含めそれらの行動を貫き通したいと思う性質を持つ。

社会的証明(Social Proof)

他人の意見を正しいと感じる心理。特に、大多数の人が片方の意見に偏っていたりすると自分もそっち側の意見に流されてしまうという性質を持つ。流行に流されるのもこの要素に含まれる。

例えば、広告にタレントを起用することもこの心理を利用しています。また、「○○%の人が利用しています」と表記することも顧客へ安心感を与え購入に至らせる要因となります。

好意(Liking)

相手のことを好きであれば言うことを聞いてしまう心理。人には好意を持っていればいるだけその相手の要求を聞き入れてしまうという性質がある。(特に、相手が自分と似ている・自分に好意を持っている・自分の意見に賛同している場合、好意を持ちやすいというデータが出ています。)

権威(Authority)

権力やしっかりとした肩書のある人の言葉を聞き入れてしまう心理。相手がどのような人格を持っていても、しっかりとした社会的地位を持っていればその言葉を信用してしまう性質がある。

例えば、塾講師が○○大学現役生とプロフィール欄に表記したり、冷凍食品にミシュラン1つ星シェフ監修と表記することでブランド力向上に繋がり顧客も信用してサービスの購入に至ります。

希少性(Scarcity)

残り少ないものを欲しいと感じる心理。入手困難な商品や期間限定商品などを人は欲しいと考える性質がある。

例えば、ECサイトなどにおける「残り2点です」などの表記も顧客の購買意欲を掻き立てます。実際になくても困らない情報ですが、Amazonなどは顧客の希少性に対する心理へアプローチし購入を促進しています。

 

まとめ

今回はチャルディーニの法則を通じマーケティングと心理学の切り離せない関係性について紹介しました。6つの要素を心がけておくことで人を動機付け及び最終的には自社のサービスの購買を促すことができます。また、これらは一昔前に提唱された概念ですが、人の根本的な心理的性質は変わらないため、デジタル化の加速する現代社会にも適応可能であり、例えば自社ウェブサイトやオンライン販売でも応用できます。

 

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