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ファミマも力を入れる「無人コンビニ」、日本でも浸透するか?
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ファミマも力を入れる「無人コンビニ」、日本でも浸透するか?
ファミマも力を入れる「無人コンビニ」、日本でも浸透するか?
数年前より無人コンビニはアメリカなど海外を中心に注目されており、Amazon Goなどがその一例です。ただ、日本でも同様に無人コンビニは拡大しており、ファミリーマートなどの大手コンビニチェーンも力を入れています。本記事では今更聞けない無人コンビニとは何か事例を交えながら紹介すると共に、日本でも今後普及していくのかその可能性についても考えていきたいと思います。
無人コンビニとは
無人コンビニとはその名の通り従業員をほとんど持たないコンビニのことで、決済のプロセスも無人で運営されています。特に近年では新型コロナウイルスの影響で非接触性が小売店にも重視されており、無人店舗の増加を後押ししています。また、人件費の節約という目的でも注目を集めています。
ただ、その形態は様々です。例えば、以前こちらの記事「AIカメラが今後のマーケティングのあり方を変える?」で触れたAmazon Goでは消費者は商品をレジに通す必要はなく、商品を手に取ってそのまま店を出ることができます。これはカメラや陳列棚に取り付けられたセンサーによるもので、消費者により豊かな買い物体験を提供しています。いくつか国内の無人コンビニを取り上げ、どのようなシステムで運営しているのか紹介したいと思います。
コンビニチェーン大手: ファミリーマート
ファミリーマートは特に今年から無人コンビニを本格始動しているようです。主に東京のオフィス内などに出店しており、店舗数は現段階では限られているものの、2024年までには1000店まで増やすと目標を掲げています。
ファミリーマートの無人店舗は一般的な店舗とほとんど見た目は変わらないものの、レジに人がいないことが特徴として挙げられます。一度に入店できる買い物客の人数は入り口で制限されており、またAmazon Goと同様に店内にはカメラやセンサーが設置されています。ただ、レジ作業は自分で行い決済も手動で行います。その代わりに事前登録やアプリのインストールなどは必要なく、誰でも入店してその場で買い物をすることができます。
一方で、セブンイレブンもファミリーマートほど大規模なものではありませんが、同様に自動販売機のような形で無人販売を行っており、今後とも台数が増えてくるかもしれません。
新企業
大手コンビニチェーンに限らず、この波に乗って無人コンビニに類似したサービスを提供する新しい企業も増加しています。例えば、株式会社Relicは株式会社NTTドコモと協業でTukTukという無人店舗サービスを去年より開始しました。マンションやオフィス内などに食品や日用品を揃えたコンビニを凝縮したようなショーケースを設置できるというサービスで、サイズとしては大きめの冷蔵庫程度と言えます。利用者はアプリを通じて商品を購入した後、QRコードを通じてショーケースを開き商品を取り出すことができます。また、小型ショーケースである点を補うようにアプリ経由で品揃えについて要望を出すことも可能なようです。
また、株式会社600もStore 600という似たサービスを提供しています。こちらもマンションやオフィス内などに設置可能なショーケース型の無人販売店で、食品や日用品を主に扱っています。アプリ経由でショーケースに貼られたQRコードを通じ解錠し、そこから欲しい商品を取り出し、商品に貼られたQRコードを読み込んで決済を行うという仕組みになっています。
更なる拡大の道筋
これまで無人型店舗というと冷凍餃子などの販売店が注目を集めていましたが、今回挙げたような無人コンビニはこれまでセキュリティや技術面の問題で比較的実現が難しいとされていました。更なる拡大のために必要となる技術的要素について考えていきたいと思います。
柔軟な決済方法
まず、更なる拡大のためにはキャッシュレス決済が今以上に世間に浸透するか、現金対応可能なレジを順次店舗に導入していく必要があります。例えば、冷凍餃子の販売店などであれば現金支払いのみ対応の店舗が多く、キリのいい額(500円や1000円)を箱に投入するような形を取っている店舗が多いです。その一方で、コンビニのように様々な金額帯の製品を扱う小売店であればそのようにはいかず、自動レジの導入が絶対になってきます。
今回紹介新企業として紹介した二つのサービスではQRコードを用いてのキャッシュレス決済が主であり、便利ですが更に拡大するためにはキャッシュレス決済が今以上に世間で一般化する必要があります。また、ファミリーマートの無人店舗ではキャッシュレス決済をベースに現金決済にも対応しているレジを設置していますが、それはそれでコストがかさむとも言えキャッシュレス決済に統一したいのが本心だとも考えられます。そのため、現時点ではキャッシュレスと現金両方に対応していますが、今以上にキャッシュレスが一般化してくると場合によっては現金決済機能が搭載されていないレジに置き換わってくるかもしれません。
最適化された品揃え
小規模な無人型コンビニは様々な場所に店舗を置くことができるという強みがある一方で、弱みとしてその限られた品揃えが挙げられます。ファミリーマートの無人店舗にしても店舗を広くするとその分カメラやセンサーを増やしコストがかかるため、限られた店舗面積で効果的な品揃えを意識する必要があります。そのため、例えば今回紹介したTukTukでは買い物客からのリクエストを受け付けており、品揃えの最適化を狙っています。このように、限られたスペースで小売を行う場合、何らかの方法で顧客の需要を的確に把握し、それをうまく品揃えに反映させることが今後更に重要になってくるでしょう。
まとめ
今回紹介したように、最近では無人コンビニが増加しており今後も急拡大していくことが予想されます。今回紹介したように、大手コンビニチェーンもその需要を把握した上で積極的に取り組んでいるようです。また、それに対抗するような形で次々に無人販売を行う小売サービス企業が増加しており、今後とも注目したいところです。ただ、日本においてはまだキャッシュレス決済がそこまで一般化していないなどの側面もあるため、それぞれの企業がどのようにしてそれら問題点を乗り越えていくのか追っていきたいところです。
参考:
Diamond Chain Store “ファミマ の無人決済店舗1000店にみる、コロナ禍で 2極化するコンビニの成長戦略”
Family Mart “ファミマの無人決済コンビニ“
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