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無人型店舗は一時のトレンドか?長続きのポイントは
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無人型店舗は一時のトレンドか?長続きのポイントは
無人型店舗は一時のトレンドか?長続きのポイントは
近年、新型コロナウイルスの影響もあり無人型店舗が増加しています。これまでの無人販売店では見られなかったような商品展開を行っており、珍しさも相まって注目を浴びています。食品や本などの実商品の販売に限らずスポーツジムのように空間を貸し出すような形の店舗も存在し、ありとあらゆる商品形態に適用できる無人販売の可能性は計り知れません。一方で、これは一時のトレンドであり、特にアフターコロナになると需要は減るのではないかという声もあります。本記事では無人型店舗の成功の秘訣と未来を見据えた戦略についてマーケティングの観点から考察していきたいと思います。
無人型店舗とは
無人型店舗とはその名の通り従業員を持たない販売店で、今回は田舎で見るような個人の無人野菜販売所などとは分け、都心や住宅街に店舗を構えるもので考えていきます。
代表的な例として、最近店舗が急増している無人餃子販売店の雪松を取り上げます。主婦層などを主なターゲットとし住宅街などに出店しており、売れ行きも好調のようです。店舗内には大きな冷凍棚があり餃子が陳列され、あとは専用タレが並んでいる程度の店内になっています。また、支払いに関しては従業員を配置しない代わりに賽銭箱のようなものが配置されており非常にシンプルな内装になっています。
そのように、無人型店舗のほとんどは非常にシンプルな作りになっており、売り手側にとって手を出しやすい販売形態になっています。というのも、従業員はもちろん、土地についてもコストがあまりかからず、効率的に運営することができるからです。そのため、品質にコストを割り振ることができたり、副業のような形で運営することも可能になります。
成功の秘訣
無人型店舗が成功している要因の一つは適切な顧客ニーズへのアプローチにあると言えます。まず、コロナ禍社会ではやはり非接触が求められ、また長期保存の可能な冷凍食品などの需要も高まっています。そのため、近年増加している食料品の無人型店舗は需要に沿った販売形態と言えます。
その中でも適切なターゲティングが行われおり、もう一つの成功の秘訣と言えます。例えば、上記でも触れた餃子販売の雪松では主に住宅街に店舗を展開しており、主婦層及び単身層をターゲットとしています。また、住宅街に店舗を置くことでワードオブマウス(WOM)所謂口コミの力によって情報が拡散されています。従業員を持たないため宣伝が難しいコンテンツのように感じますが、そのような取り組みが普及を後押ししていると言えます。
またもちろん無人型店舗の物珍しさや革新性も成功の要因です。無人販売自体が新しい販売形態ですが、無人販売で売ることが難しいと考えられていたものを売ることで人々の興味を惹きつけることが可能です。例えば、最近では家電の無人販売店も存在し、メディアに取り上げられることでより顧客の流入が加速しています。しかし、この珍しさこそ無人型店舗が一過性のものと言われる所以です。珍しさのため一時的には注目されてはいるものの、顧客の定着が今後一層の課題となってくるでしょう。
無人型店舗の未来
無人型店舗はその可能性から今後更に増えてくることが予想されており、その際の差別化が今後大切になってくるでしょう。特にアフターコロナを視野に入れたとき、非接触だけを売り文句にするには多少の無理があると言えます。そのため、非接触以外の部分で価値を持たせ、より利便性などを追及する必要があるでしょう。
特にデジタルを利用した取り組みは無人型店舗と相性が良いでしょう。セルフレジやキャッシュレス決済の導入は顧客体験を改善することができる他、顧客データの収集にも繋がります。顧客データを収集することでどのような顧客がどの商品をどれだけ買ったかなどが分かり、今後の活動に活かすことができるでしょう。また、店によってはセキュリティ強化のためにも入店時に登録が必要な店舗も存在し、これにより無人型店舗には欠如している双方向の繋がりを保つことが可能です。例えば、登録を促すことによって顧客に対しメールなどでの情報発信が可能になり、定着率の向上も見込めます。
無人型店舗事態を広告に用いる考え方も存在します。これは無人型店舗以外に実店舗を保有していることが前提になりますが、無人型店舗を宣伝媒体として用いて実店舗に誘導するというものです。例えば、居酒屋などであれば店舗で販売している商品を冷凍食品として無人型店舗で販売することが可能です。これにより無人型店舗から利益を得ることができると同時に居酒屋への流入を促すことが可能になります。
まとめ
近年増加している無人型店舗店舗は一過性のトレンドだとは言い切れませんが、アフターコロナを見据えたとき今以上に価値を持たせることが重要になってくるでしょう。現在は物珍しさや非接触のニーズの後押しにより売上を伸ばしていますが今後はより顧客体験に目を向ける必要性が出てくると考えられます。また、無人型店舗は宣伝媒体として用いることもでき、今後様々な業界で無人型店舗の利用が増えてくるかもしれません。
参考:
RemoteLock “無人店舗ビジネスを始める際の3つのポイントと具体的事例”
Yahoo News “1日でラーメン500個販売も。コロナ禍で増える無人販売ビジネス最前線“
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