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過去にブランド毀損が起きた3つのグローバル企業とその対処法とは

過去にブランド毀損が起きた3つのグローバル企業とその対処法とは

投稿日:2021年12月16日/更新日:2022年6月22日

McDonald's

私たち消費者は、ある企業名やブランド名を耳にしたとき、その企業/ブランドがしっかりとブランディングを行っていれば、あまたの中に何かしらのイメージや感情が生まれます。広告や口コミ、今までのそのブランドと関わった経験などによって、その消費者がブランドに対して持つイメージの良悪が決まり、これら全ての要因がブランドの全体的なイメージをつくります。

いい評判の多いブランドは、当たり前ですが良いイメージが生まれます。しかし、このような評判はとても壊れやすく、1つの間違いでこれまで築き上げてきた顧客の愛着と信頼を深く傷つけてしまうことになります。特に、その間違いが顧客の安全と健康を脅かすものである場合、重大なブランド毀損になります。

また、ブランド毀損が起こってしまった場合、消費者の信頼を取り戻すためには、すばやく適切に対処する必要があります。対処が遅れるほど、顧客の信頼回復がさらに困難になります。

ここでは、実際にブランド毀損が起こった3つのブランド(McDonald’s・P&G・Samsung)の例と、その後の対処について見ていきます。ブランド毀損には様々な要因があり、それは必ずしもブランド自身によるものだとは限りません。3つの例を通して、ブランド毀損はどの企業にも起き得ることであることが分かります。

1. McDonald’s – 健康への影響に関するドキュメンタリーの放映

世界的ファストフードチェーンのマクドナルドは、提供する商品の健康面において度々批判を受けてきました。しかし、2004年にマクドナルドの食べ物についてのドキュメンタリー、“Super Size Me” が放映されると、これまで以上にマクドナルドの健康への悪影響について大きな批判が起こりました。これは、ブランド毀損がどれほど早く、そして強い影響をもたらすかを示した有名なケースとして知られています。

McDonald's

そのドキュメンタリーは、ファストフートが人々の健康にどのような影響を与えるかを調べるために、ディレクターであるMorgan Spurlock が1カ月間マクドナルドの商品のみを食べるという社会実験を行ったものです。

実験によって、Spurlock の体重は11㎏増加し、体形とコレステロールも共に増加しました。また、Spurlockの健康状態を見ていた医師は、マクドナルドだけを食べる食習慣が彼の肝臓に大きな負担をかけているとして、すぐにやめるよう薦めました。

このドキュメンタリーが放映された直後のイギリスでは、多くの消費者がファストフードによる健康への影響を懸念し始めたため、マクドナルドの売上が最低値を記録しました。

この事態を受けて、マクドナルドは商品の健康性を訴えるキャンペーンを開始しました。牛乳やサラダなどヘルシーな選択肢をメニューに加え、顧客に万歩計を配り毎日の運動の大切さを発信する”Every Step Counts”という活動を行うなどしました。

2. P&G – SNSの危険なチャレンジ

世界的な消費財メーカーであるP&Gが主にアメリカで販売している洗濯洗剤 Tide(タイド)は、高品質で最も売れている洗濯洗剤として知られています。

しかし、2018年に消費者の手によって、その評判に傷がつくことになりました。若者の間で Tide のコンパクト洗剤を食べるというチャレンジ(”Tide Pod Challenge”)がSNS上で広まったのです。

P&Gは、Twitterで Tide が体内で吸収されれば有毒であり危険であるため、コンパクト洗剤を決して飲まないようにという警告メッセージを重ねて発信しました。また、有名なアメリカンフットボール選手を起用して、コンパクト洗剤を洗濯以外には決して使用しないようにと呼びかけるビデオキャンペーンを行い、ブランドの安全性を脅かす事態に対処しました。

3. Samsung – 商品の発火・爆発

2016年、Samsungのスマートフォン、Galaxy Note 7 がバッテリーの故障による発火や爆発が相次いで起きました。世界中で同じような事件が起きたため、同製品 の売上が全体で15%も減少しました。アメリカのサウスカロライナ州では、このスマートフォンの発火・爆発が原因で自宅火災が発生しました。幸い死傷者は出ませんでしたが、人々のの安全を脅かす危険な事態として大きな問題となりました。

NBC News “Samsung Finally Explains Galaxy Note 7 Exploding battery Mess” 

この事態を重く受け止めた Samsung は、発火を起こす Note 7 の商品をリコールするとともに、商品を購入した顧客への返金・商品交換を実施しました。しかし、交換した商品も同じような発火事件が起こり、その商品の回収も余儀なくされました。

ブランドの安全性を深く傷つけたこの事態に対して、Samsung は全ての過失と責任を認めバッテリーの故障原因の徹底的な追求を約束することで、顧客の信頼回復を目指しました。調査チームを設け、様々な環境でバッテリーの状態を分析し、最終的にスマートフォンの型に対してバッテリーの大きさが大きすぎたことが原因と発表するに至りました。

 

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参考:Etactics “11 Organizations with Negative Brand Images and How They Overcame It

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