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ショールーミングストアは日本でも受け入れられるか
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ショールーミングストアは日本でも受け入れられるか
ショールーミングストアは日本でも受け入れられるか
近年ではウェブルーミングやショールーミングなどの概念が登場し、消費者の購買のあり方が変化しつつあります。また、企業のオムニチャネル化も進んでおり、消費者へのアプローチの仕方も以前と比べると多様になっています。そのような変化は米国をはじめ海外で特に顕著ですが、日本でも拡大しつつあります。その例として最近のショールーミング型店舗・ショールーミングストアの拡大が挙げられます。本記事ではショールーミングストアの仕組みなどの解説に加え、今後日本でも拡大していくのか考えていきたいと思います。
関連記事:販売チャネルを複数持つことは本当に効果的か? -オムニチャネル-
ショールーミングストアとは
近年、実店舗は「実際の商品を見て回れる場所」として認識されているケースが多く、実際の購買はECサイトで済ますという消費者が増えています。そのような購買の在り方をショールーミングと呼び、実店舗のみで販売を行う小売店はECサイトを運営する他企業に売り上げを奪われてしまうためその動向に悩まされているでしょう。
一方で、ショールーミングストアとは商品は陳列されていてもそれらをその場では購入できない実店舗のことを指します。その場で購入できない代わりに、その店舗を運営するECサイトに訪れて購入を行うという流れになっています。
メリット
アパレルECサイトなどでよく見られる「実際に商品を手に取って見ることができない」というネットショッピングのデメリットをショールーミングストアは補っており、ECサイトを運営するD2C企業にとって新しい顧客との接点の作り方となっています。また、オンライン上だけでは得られないデータを店頭では得ることができるでしょう(顧客層や顧客の滞在時間等)。その他にも、購入はECサイトで行うため、店舗で多くの在庫を抱えておく必要もなく、実店舗として見たときにもコストが抑えられ理にかなった形態と言えるでしょう。
事例:海外
Bonobos
Bonobosは2007年に創業され2017年にWalmartに買収されたアメリカのメンズアパレルブランドです。元々メンズパンツを中心にEC販売を行っていましたが、より良い顧客体験提供のために試着専用店舗(ガイドショップ)の運営を2011年頃に開始しました。現在は60軒ほどの店舗を持っており、どれも店舗での購入はできないショールーミングストアになっています。実際に試着できるECサイトへの窓口として機能しています。
SHOWFIELDS
SHOWFIELDSはアメリカ国内に現在(2022年5月)3軒の店舗を持つ百貨店的なショールーミングストアです。雑貨、ビューティー用品、アパレルなど様々なブランドを店舗内に集めており、「売らない百貨店」とも呼ばれています。ただ店舗をかき集めただけでなく「世界一面白い店」をコンセプトとしているように、アート作品が展示されていたりカフェが併設されていたりとテーマパーク色の強い施設になっています。Retail as a service (Raas)とも呼ばれるようにサービスとしての小売を実現しており、店舗内で取得できたデータをD2Cメーカーに提供しています。また、SHOWFIELDSは2022年の夏頃、双日の出資のもと日本にも店舗をオープン予定です。
事例:国内
高島屋「Meetz STORE」
日本では2022年4月下旬に新宿高島屋が百貨店内に「Meetz STORE」と呼ばれるショールーミングストアをオープンしました。ここではSHOWFIELDS同様様々なジャンルのD2Cブランドを取り揃えており、店舗で取得したデータはメーカーに提供される仕組みになっています。D2Cブランドにとってメリットがあるだけでなく、百貨店としても現在新型コロナウイルスの影響もあり経営が厳しい部分があるため、ショールーミングストアの導入によりネットショッピングを好む顧客層を取り入れることも目的だと予想できます。
キラリナ京王吉祥寺「INSEL STORE」
吉祥寺の商業施設キラリナにも「INSEL STORE」というショールーミングストアが誕生しました。D2Cアパレル用品ブランドを複数取り揃えており、定期的にそれらの出店ブランドが変更される仕組みになっています。規模としてはそこまで大きくなくフロアで占める面積も広くありませんが、これも在庫を必要としないショールーミングストアの一つのメリットだと言えるでしょう。
まとめ / これから
今回、海外・国内合わせ4つの具体例を紹介しましたが、ショールーミングストアとは何なのかイメージが掴めたかと思います。ショールーミングストアはネットショッピングと実店舗販売両方の良いところを兼ね備えており、これまでなかった新しい買い物のあり方を提供しています。
日本ではまだ浸透していない買い物の形式ですが、徐々に拡大していっていることが分かります。特に、SHOWFIELDSはアメリカで人気を集めており、日本に上陸した際にはZ世代を中心に人気を集めることが予想されています。また、今回紹介した高島屋の例のように、ある種の生き残り戦略・差別化戦略のような形でショールーミングストアを取り入れているケースも存在し、今後とも盛り上がりを見せるだろう市場であるため目が離せないでしょう。
参考:
Bonobos “About Us”
DX Navigator “百貨店の変革―――モノを売らない百貨店SHOWFIELDSが今夏日本進出”
Kirarina Keio Kichijoji “INSEL STORE”
SankeiBiz “「百貨店体験」の真価を問う高島屋のショールーミングストア事業 ネット購買層は実店舗に足を運ぶか?”
ネットショップ担当者フォーラム “高島屋がショールーミングストア事業に参入“
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