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その定性調査、意味ないかも?例とその効果的な使い分け

その定性調査、意味ないかも?例とその効果的な使い分け

投稿日:2021年6月2日/更新日:2021年6月22日

マーケティングリサーチ及び顧客リサーチにおいて主に定性調査(qualitative)と定量調査(quantitative)の二種類の調査方法がありますが、今回は定性調査について深堀りしていきたいと思います。

定量調査とは大まかに言うと選択肢形式のアンケートなどを用いて対象者の評価や意識を数値として調査する方法です。数値で調査を行うため一目で対象者の意見などを把握できる他、商品間での具体的な比較も可能です。

一方で、定性調査ではインタビューなどを通し、数量データでは計ることのできない対象者の行動の理由やそれぞれの背景を調査します。例えば、「なぜ対象者はその商品を購入するに至ったか?」「そのような意識はどこからきていて、なぜ○○とは思わないのか?」など個人レベルの部分まで調査を行います。定性調査には様々な手法が存在し、それらの特徴を把握していない限り効果的な調査はできないと言えます。

 

定性調査の手法

定性調査には様々な手法があり、その中でも今回は代表的な三つ取り上げます。

デプスインタビュー

デプスインタビューではDepthとあるように、対象者一人に対しより深堀りしたインタビューを行います。じっくりと1時間以上かけ、対象者の行動原理や意思決定の仕組みを探っていきます。これまでのブランドスイッチの経緯の他、対象者の価値観や普段の生活習慣などに関する質問を通し顧客情報を調査していきます。これにより新たな顧客ニーズを把握することにも繋がります。

メリットとして深く顧客について知ることができる他、1対1で調査が行われるため対象者も他人の目を気にせずに話すことができます。人の意見に左右されていない言葉を聞き出すことができ、プライベートな内容を含む調査も可能です。一方でデメリットとしては一人の意見しか聞くことができず、また1対1で行うため時間とコストがかかります。

グループインタビュー

グループインタビューはフォーカスグループインタビューとも言われ、進行役一人に対し5人ほどを対象に行うインタビュー調査です。年齢、性別、調査対象商品の使用頻度など様々な面で異なった属性を持つ人々を集め、座談会形式で進めます。テーマを設け、進行役はデプスインタビューとほとんど内容の変わらない質問を投げかけます。その中で、対象者間でのディスカッションが行われることもあります。

メリットとしてはデプスインタビューよりもコストがかからない他、様々な意見を聞くことが可能です。ただ、デメリットとしては1対1でないことににより話せる内容が限られてくることが挙げられます。また、複数人で行うためそれぞれの意見にバイアスがかかる恐れがあり、正しい情報を入手できない可能性もあります。

エスノグラフィー

行動観察調査やオブザーベーション調査とも呼ばれ、対象者の日常風景を実際に観察することで行動のパターンなどを探っていく調査方法です。観察を行いつつ、引っかかった点についてインタビューを行い、対象者が無意識に行っている行動の原理を佐口升。例えば、家にいる際の掃除の習慣や癖を観察し、「なぜ掃除道具をそのような使い方をしているか」「なぜその場所にものを置いているか」など細かい部分について質問していきます。また、買い物に同行し購入の原理を観察することもあります。

メリットとしては対象者の普段通りの行動を観察することが可能な他、対象者自身が気づいていない行動パターンを特定することが可能という点が挙げられます。また、近年ではビデを通話などを用いてオンラインでこの調査を行うことも可能で、以前よりも簡単に行うことができます。一方で、デメリットとしては調査員側が対象者の特定の行動に気づくことができないケースが存在する点が挙げられます。また、同時に調査員によってバイアスが生じることもあり、正しい調査ができない恐れがあります。

 

使い分け(まとめ)

効果的にマーケティングリサーチを行う場合、定量調査と定性調査を行う必要があり、定量調査を支えるものが定性調査とも言えます。例えば、定性調査で発見した消費者の行動パターンを定量調査のアンケートに組み込むなど、効果的に用いることが可能です。

今回、3つの定性調査の種類とそれぞれのメリット・デメリットを取り上げました。それぞれの手法には向き不向きが存在するため、定性分析を行う際には用途に合った手法を選択するべきです。また、対象者から引き出したい情報に限らず、予算及び時間的コストと相談して調査を行う必要があります。例えば、効率を重視するならグループインタビュー、バイアスを避けたい場合はデプスインタビュー、のように使い分けることが重要です。

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