高まる需要。データ分析はナゼ重要なのか?
Blog/Opinion
コトラーの5A理論はもう古い?現代の購買プロセスとは
- TOP
- BLOG/OPINION
- ビジネス
- マーケティング
- モデル・分析
コトラーの5A理論はもう古い?現代の購買プロセスとは
コトラーの5A理論はもう古い?現代の購買プロセスとは
消費者の商品やサービスの購買プロセスについて、有名なモデルにAIDMA(アイドマ)やAISAS(アイサス)、ULSSAS(ウルサス)などがあります。
ULSSASは比較的新しいので耳にする場面は多いかと思います。このモデルは2019年にホットリンクのCMOにより唱えられ、現在も多くの企業のマーケティング戦略に活用されています。この頃、消費者は商品などについて検索をする際にGoogleなどの従来の検索エンジンではなく、InstagramやTwitterを用いるという風潮が出てきています。
一方、本タイトルにもある「5A理論」とは、コトラーが2014年頃に唱えた1つの購買プロセスです。これは現SNS時代における購買プロセスにも通づる部分があります。
本ブログでは、コトラーの5A理論とはどのようなものか、マーケティング4.0とはどのような概念か、5A理論とULSSASとの類似点や違いについても紹介します。
コトラーの唱える「5A理論」
5A理論を提唱したフィリップ・コトラーとはアメリカの経済学者です。時代と共にマーケティングの概念や消費者の購買プロセスは移り変わっていますが、それを分かりやすく説明しているマーケティングの第一人者です。
コトラーにより唱えられた「5A理論」は、マーケティング4.0の概念の中で登場しました。まず、マーケティング4.0とは何かについて説明します。
マーケティング4.0とは「接続性の時代」
これまでコトラーによりマーケティング1.0から5.0までの概念が提唱されていますが、マーケティング4.0は2014年頃に唱えられた概念で5A理論について言及しています。
当時は徐々にSNSが普及してきた頃で、消費者は商品やサービスの購入・利用後に、その口コミやレビューを発信・共有するようになりました。そのため企業は、商品情報の共有までもを購買プロセスに含め、マーケティング戦略を考える必要性がありました。
このような状況を、コトラーは「接続性の時代」と表現しています。消費者が商品を認知し、購入を検討するプロセスには必ずと言っていいほどSNSやソーシャルメディアなどが関係しています。このように他者やSNS上のコミュニティと接続性が強い時代において、消費者の購買行動はコトラーの唱える5A理論に当てはまります。
「5A理論」の購買プロセスとは
5A理論は、以下の5つの段階から成ります。
認知(Aware):広告や口コミにより商品・ブランドを知る
↓
訴求(Appeal):ブランドに惹きつけられ、記憶する
↓
調査(Ask):口コミやネットを通し、評価・評判を調べる
↓
行動(Act):店舗やオンラインで購入する
↓
奨励(Advocate):口コミやSNSを通して他社に共有する
消費者は、この5段階の購買プロセスのどこからでも入る可能性があります。SNSを通して日常的に他者と繋がっているため、認知・訴求・調査がされやすいのです。最近では、Instagramなどで商品購入機能が追加されたため、購入もSNS上で完結します。
そして、商品を購入・利用した消費者により、口コミやレビューが共有され拡散され、それが新たな認知・訴求を生み出します。
現代の購買プロセス『ULSSAS』との違い
ULSSASとは、2019年にhottolinkのCMOにより唱えられた購買プロセスです。SNS時代の消費者行動の特徴をとらえたモデルとなっています。
画像引用:hottolink公式サイト
認知(UGC):SNSの投稿やレビューサイトの口コミといったUGC(ユーザーにより生成されたコンテンツ)を見る、広告を見る
↓
いいね(LIKE):UGCを見ていいね・リツイートなどの反応をする
↓
SNS上での検索(SEARCH1):商品やブランドに興味を持って検索(SNSでの情報収集)をする
↓
検索エンジンでの検索(SEARCH2):Googleなどの検索エンジンで検索をする
↓
購買(ACT):店舗やオンラインで購買する
↓
拡散(SPREAD):その口コミやレビュー(UGC)をSNS上で発信する
↓
いいね(LIKE):拡散されたUGCにLIKEをする
以上のように、UGCにより認知、いいね(LIKE)をし、SNSなどを通して商品への興味や購買意欲を高め、購買者により拡散されたUGCによってまたLIKEに戻っていきます。
関連記事:UGCの活用は本当に効果的? COCO’Sのコラボキャンペーンの例も紹介
ULSASSと5A理論の違い
ULSSASと5A理論は、大まかな購買プロセスは似た部分があるといえます。広告や口コミにより商品を認知をし、商品に興味をもち、商品についての情報をSNSや検索エンジンを通して集め、購買し、口コミを書いて他人に拡散・奨励するという流れです。
ULSSASでは、Searchが2回あるのがポイントであると考えられます。SNSでの検索→GoogleやYahoo!での検索という検索の順番が強調されているので、商品の認知(UGC)から興味を深める(LIKE・SEARCH1)といった流れがSNS上で行われることが重要であると読み取れます。
また、ULSSASのモデル図では拡散(SPREAD)の段階で購買者により作成されたUGCから新たなLIKEが生まれるという流れがわかりやすく描かれています。そのため、いかにUGCを獲得しやすい商品やサービスづくりをするかという点が重要であるといえます。
5A理論は古いのか?
本ブログでまとめたように、5A理論はSNS時代の購買プロセスに当てはまるといえます。また、購買プロセスは消費者全員に当てはまるものではなく、段階を飛ばして購買や拡散・奨励に至ることもあります。
そのため、5A理論での購買プロセスを基盤にしつつ、消費者(ターゲット)の段階に合わせたマーケティング戦略をうつことが重要です。
例えば、潜在顧客による認知(AWARE)を獲得したい場合、ターゲティング広告を流したりインフルエンサーを活用したりするだけでなく、一般の購買者にハッシュタグ投稿をしてもらうためのキャンペーンを行うと良いでしょう。InstagramなどのSNSには、興味のある項目や関連性の高い項目を表示する機能があります。そのような機能により、購買者のUGCが潜在顧客に届く可能性があります。
従来のように広告を見ただけで購買に繋げるのは難しく、SNSでの認知や友人からの推奨などの要素もあることで、より商品に対する信頼度や購買意欲を高めてもらいやすいです。
世の中に似たような商品やサービスが多く差別化することが難しい中で、消費者も信頼のある情報源からの情報や推奨をより重視する傾向にあるためです。
また、コトラーが2021年2月に唱えたマーケティング5.0では、AIなどの最新テクノロジーを応用して購買プロセスに働きかけ、消費者の経験価値を高めるマーケティングの概念について説明されています。
関連記事
scroll