テレビCMバイイング 理解度チェック
Blog/Opinion
東京ゲームショウ出展とファミレス経営、ニトリ多角化に意味はあるか
- TOP
- BLOG/OPINION
- ビジネス
東京ゲームショウ出展とファミレス経営、ニトリ多角化に意味はあるか
東京ゲームショウ出展とファミレス経営、ニトリ多角化に意味はあるか
9月に開催された東京ゲームショウ2022にニトリが出展したことが一部で話題になっています。その他にもニトリは2019年にアパレルブランドを立ち上げ、2021年にはファミレス事業を開始しています。また、持ち株会社であるニトリホールディングスは2020年に島忠の買収も行っています。このように様々な業界に参入して話題に尽きないニトリですが、その狙いは何なのでしょうか。本記事では多角化するニトリブランドについて取り上げ、その戦略の狙いについて考えていきたいと思います。
関連記事:TikTok Kitchenから学ぶ、既存事業を活かす多角化戦略
拡大するニトリブランド
前述のように、ニトリは元々家具・インテリアの小売業を行う企業ですが、様々な業界に参入しブランドの存在感を示しています。こちらでは三つのブランドについて取り上げ、簡単に説明したいと思います。
東京ゲームショウでのゲーミング家具展示
元々家具の販売を行うニトリですが、最近最も話題に上がっているのが3年ぶりに開催された東京ゲームショウ2022への出展です。東京ゲームショウでは一般的にゲーム会社などがゲームに関連した展示を行うため、家具を扱うニトリの出展は意外性がありました。ただ、ニトリもゲームに関する家具の展示を行いました。例えば、ケーブルなどを収納できるスペースを配置したゲーミングテーブルや、長時間ゲームをプレイしていても疲れないゲーミングチェアなどが展示され、リーズナブルな価格設定も相まって来場者を驚かせました。ゲーミング家具にはこれまでニトリが培ってきた家具に関するノウハウなどが反映されており、家具の可能性を示したようにも思えます。
アパレル「N+」
2019年にニトリはアパレルブランド「N+」を立ち上げ、大型商業施設を中心に現在も拡大中です。主に30代や40代の女性をターゲットにシンプルなデザインの衣服を販売しており、元々の「ニトリ」の雰囲気を受け継いでいるような印象です。立ち上げ当初は賛否両論あったものの、次第にポイント制度など含め家具屋としてのニトリとの統合も進みより良い顧客体験を提供できているようです。
ファミレス「ニトリダイニング みんなのグリル」
多角化にあたり最も意外性があるのがファミレス事業でしょう。2021年にニトリはファミレス事業を開始し、家具屋の経営する飲食店として注目を集めました。多くの場合ニトリの大型店舗の中などに併設されており、ニトリに来た顧客に訪れてもらうことを狙っているようです。値段は非常に安く設定されており、リーズナブルな家具を買い求めてニトリに来店する顧客との相性も良さそうです。また、元々ニトリは「いきなり!ステーキ」のフランチャイジーであり、いくつかの「いきなり!ステーキ」の店舗はニトリダイニングに変わっていっています。ここからニトリはファミレス及びグリルのノウハウを「いきなり!ステーキ」から学んでいたということも想像できます。
多角化の狙い
元々ニトリの似鳥会長は衣食住に関する事業を展開したいとしており、大体のことをニトリブランド内で完結できるようにすることを目標にしているようです。豊富な品揃えを誇る島忠の買収や多角化戦略もその目標からくるものだと考えられます。
ただ、ニトリは「住」に関しては非常に大きな地位を築いていますが、その他の要素に関してはまだ足りていないと言え、今回紹介したアパレル事業やファミレス事業はその計画が本格化してきていることを示唆していると言えます。ニトリの多角化については賛否両論あり否定的な意見も多く見かけますが、もちろんメリットも存在します。多角化において、考えられる理由を四つここでは紹介したいと思います。
ブランド力向上
まず、多角化により知名度やブランド力の向上が望めます。話題性で名前が拡散されることはもちろん、ニトリのように既にブランド力を持つ場合、他の事業を始めた際にも初めから顧客はある程度の信頼性を持ちます。そのため、長期的に事業が続くかどうかはともかく、短期的な利益は見込めると言えます。また、今回紹介した東京ゲームショウへの出展は本業である家具のブランド力向上に直結するため、非常に効果的な策だったと言えます。
「ニトリ」への来店頻度向上
上の延長で言えるのが、家具屋としてのニトリへの来店頻度向上です。売り上げで考えた際にも、ハンバーグや衣服と比較すると家具は単価が高く、ニトリとしても家具を買ってくれた方が喜ばしいと言えます。そのため、レストランの併設などは家具屋ニトリへ誘導するための策とも捉えられます。レストラン併設に関してはIKEAなども既に行っており、広い店舗を持つ家具屋と休憩が可能なレストランは比較的相性が良いと言えます。また、ニトリは各ブランド内で利用できる(ニトリダイニングは対象外)ポイント制度を取り入れており、それぞれのブランドを利用してもらうためには有効な策だと言えます。
データ収集
また、多角化はデータ収集に有効です。例えば、実店舗からは得られないデータをECサイトから得られたり、家具の販売からは得られない顧客の趣味嗜好をアパレル販売から得られたりします。それらの情報はマーケティングや製品開発に役立てることができ、データを収集できる口を多く持つことはプラスに働きます。その他にも、ポイント制度を既に導入しているようにそれぞれのブランドを統合していくことは衣食住を包括的に提供したいニトリとしては適した戦略だと言えます。
まとめ
今回紹介したニトリの多角化ですが、賛否両論あるものの意義のある戦略だと言えます。一見関係なさそうなファミレス事業やアパレル事業ですが、広い目で見るとプラスに働く側面があることが理解できたと思います。特に、衣食住をニトリ内で完結させてもらうという目標に向けて好調だと言えます。また、更に効果を発揮していくためには現在実際にしているように更にブランド間で統合を進めていったり、ターゲットを今以上に絞ったりすることが効果的だと考えられるでしょう。
参考:
Impress Watch “ニトリが東京ゲームショウに。ゲーミング家具”
アルファポリス “ニトリの変節、異業種へ積極進出&多角化路線の危うさ…ファミレス進出、「島忠」買収”
東洋経済 Online “ニトリが密かにファミレスを始めたその理由“
関連記事
scroll