オリンピックのPR・広告の費用対効果はいかに?
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爺の雑言15 – 釈然としない
岸田首相は決めたことを国民に充分に説明もせず、真心をもって問題解決に取り組んでいない。テレビドラマのある場面で「権力は公器だ。公器とは一個人や家族のものではない。誰がみてもわかるように、真心を持って問題を解決するのだ。それが正道だ。・・・・」と言っていたが、岸田政権は公器の役割をはたしていないようにみえてしまう。前回、検討するだけの首相が突然、何を思ったか安倍元首相の国葬と原発再稼働を閣議決定し、国民に発表した点に触れたが、いまだに充分な説明もなく推移している。岸田首相は「丁寧な説明」を繰り返すだけの丁寧さに釈然としない。
効かない「聞く力」
岸田文雄首相の「聞く力」は、自民党内向けで、国民の声が「聞こえた」だけだったようだ。安倍元首相暗殺後の国葬の決定に対する民意を聞こうともせず、見えてもいない。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る自民党内の対応、改造内閣の顔ぶれなどでも対応力不足が目に余る。当初、旧統一教会との関係に対し、個々の議員の判断に委ねる方針だった。批判が高まり「関係を点検し適正に見直すよう」所属国会議員に指示したのが内閣改造2日前の8日で、関係があった閣僚7人を交代させた。だが、10日には任命した新閣僚のうち8人に関係があったことが分かった。その中でも山際大志郎経済再生担当相は旧統一教会との関係が深く、その事実に対する彼の記憶力と危機対応力の鈍さは経済再生の重職を担わせるには不適当のようにおもえる。山際大志郎経済再生担当相は我が地元選出の議員でもあり、選んだ選挙区民としても恥じてしまう。こんな記憶力不足の人間を要職に据える続ける岸田首相のマネージメント力の欠如に驚かされる。
岸田首相の国葬決定プロセスの不透明さに加え、安倍元首相の旧統一教会との関係の深さから国民の半数以上が国葬に反対している。安倍元首相は保守右派の代表的人物と評されてきたが、「韓国を植民地として支配した日本は堕落したサタン(悪魔)の国であり、その罪を償うためにエバの国の日本がアダムの国の韓国に金を貢ぐのは当たり前だ」という贖罪(しょくざい)史観を持つ旧統一教会とズブズブの関係だったことが明らかにされるにあたり、似非右派だったのではとの疑念も生じ始めているからだ。
国葬は費用の問題でも説明が足りなくて揉めている。2億5千万円の葬儀費用は予備費から予算化されたが、予備費から出される点にも疑問がある。本来の予備費とは地震や台風など予測できない災害(コロナも含む)が発生した時の対策に使われるべきものではなかったのか。加えて当初は国葬にかかる費用を予測できないと答えられては、オリンピック費用と同じで青天井になってしまう。いくつかの想定をすれば、最大予算がどのくらいかかるのかもシュミレーションできるはずである。優秀な官僚がいる日本にできないはずはないのだ。そう思っていたら、9月6日に、しぶしぶ少な目に16億6千万円と出してきた。これをバカな野党は「出せ出せ」と言ってきたにも関わらず「少な目に出してきた」とケチを付ける。やろうとすればできることをグズグズ時間稼ぎするから野党のバカ論議の泥沼にはまる。8日の閉会中審査でも岸田首相は今までと同じ答弁の繰り返しで国葬決定の正義を示せてはいない。国葬の反対は税金を使うからではない。安倍元首相に佐藤元首相や過去の首相以上の実績を国民に示したかどうかだ。決定までのプロセスを踏んで決まったのならここまで国民は反対しなかったはずだ。「聞く耳」は国民の声を聞かなければいけないこんな時に使うべきで、説得力のある説明をしてこそ「聞く耳」が効くのだ。このまま国会の承認なしで進めるのなら、国葬でなく全額税金でいいから同等の国民葬に変える決断が欲しい。論語に「過ちて改めざる是を過ちという」とあるが、岸田首相に過ちを改める勇気が望まれる。このまま国論が割れたまま国葬を強行すれば、当日に反対デモが起こっても不思議ではない。そうなると世界中に恥をばら撒くことにもなりかねない。それでは安倍元首相も浮かばれないし、ご家族にも失礼で、ご迷惑になる。
今時、まだ昭和かよ
河野太郎デジタル大臣が「いまだに官公庁でフロッピーディスクが使われていたとは…」「今どき、フロッピーディスクはどこで買えるんだ」と会見で発言した。河野大臣が会見の中で、デジタル臨調の調査によって行政手続きなどでフロッピーディスクや光ディスク(CDやDVDなど)を提出時の記録媒体として指定する法令が1900条項存在することを明らかにした。驚くとともに、いかに日本の国家機構がデジタル化から数周回遅れしているかを象徴した一幕でもあった。
デジタルの遅れはコロナ患者の全数把握にも影響を与えている。感染症法は、新型コロナウイルスを診断した医師に対し、すべての患者の氏名や年齢、連絡先などの情報を、「発生届」として保健所に提出するよう義務づけている。「発生届」の提出は国が導入した「HER-SYS(ハーシス)」と呼ばれるシステムを使用して行われているが「第7波」で感染者が急増し、入力や確認の作業が医療機関や保健所の業務負担となっている。医療現場からは、コロナ患者対応に集中させてほしいと、見直しを求める声が高まったこともあり、岸田首相は全数調査を自治体の判断で「発生届」が必要とする対象を、高齢者や重症化リスクが高い人などに限定できるようにした。これが、国の判断ではなく、自治体の判断としたことで混乱をさらに招いている。本当に責任から逃げる政権だ。何よりも「HER-SYS(ハーシス)」の入力問題なのだから、これを改善できないのだろうか。医療現場では、受付で氏名、年齢を保険証で確認し、医者はカルテに病状をパソコンに入力している。HER-SYS(ハーシス)が受付とカルテと連動できるようになっていれば、再入力の手間は省けるじゃないか。パソコンを使っている医療現場にそんなソフトをダウンロードできるシステムを構築するのは難くないはずだ。これにデジタル庁が絡んでないなら何のためのデジタル庁なのだ。HER-SYS(ハーシス)開始当初は入力項目が約120あったが、入力項目は段階的に削減され、現在、最も入力項目が少ない重症化リスクの低い患者については、氏名、性別、生年月日、市区町村名、電話番号、医療機関からの報告日、症状の有無などの7つの項目まで絞られているようだが、二重に打ち込みが必要なら医療機関には無駄な作業になる。テレビの会計ソフトCMではないが、「今時、まだ昭和かよ」だ。
このままでは岸田不況だ
円安が急速に進行し、輸入商品価格が上昇している。物価上昇と上がらない給与で街角における景況感がどんどん悪化してきている。日本にとって、何が最優先されるべき政策なのかを的確に示し、国民を安心させるのが岸田首相の果たす大きな役割のはずだが、懸案の先送り感がどうしても否めない。日銀は国債を多く抱えて金利を上げられない状態で円安に対する打つ手は限られている。ならば、消費を促進する手が必要だ。円安インバウンドと言うが、得するのは日本人ではない。
新しい資本主義とは何なのか。分配と格差是正、資産所得倍増、貯蓄から投資へなど言葉は踊るだけ。「丁寧な説明」は丁寧な説明の言葉の繰り返しが続く。打つ手も逐次投入のオンパレードだ。給与が上がらないなら、物価が上昇しても購買意欲が落ちないようにする方法を考えるのが岸田首相のお仕事だ。ちまちまと給付金やポイント、ガソリン補助金などではなく、消費税を景気が落ち込む前の5%に下げたらいいのだ。消費税を下げて購買力を上げる。景気が回復すれば、税収総額は落ちない。物価が上がっても、購買力が落ちなければ日本経済が安定し、急激な円安など解消する。
新型コロナウイルスの感染者増加と経済再浮揚との間で、板挟みの格好となっていたが、やっと経済を優先する決断をしたようだ。年末に向けて世界経済の減速も予測される中で、小手先でなく消費税を下げる決断を求めたい。検討はするが何も決められない政治が継続すれば、岸田不況で日本経済大失速が現実化しかねない。
絶望の地方テレビ局がキー局を変えるか
今年の初め、総務省で行われた「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」で、テレビ朝日ホールディングスが「県域制度の廃止」を要望した。各テレビ局の放送免許は単一県に制限されている。関東・近畿・中京地域など一部を除き、特定地域の情報などに各局の放送内容が偏り、地元の情報が得にくいという状況を防ぐのがその理由だ。テレビ朝日の提案は、その県域制限を廃止し、複数地域で同一放送を行えるようにするというものであった。テレビ朝日HDは2019年から「系列局の経営危機に対する対応」として、系列局の指導に乗り出していた。今回、テレビ朝日は自社系列に関しての報告としながら要望として出している。この提案は、県ごとにある地方局が事実上合併し、特定の地域から別地域への放送を可能にしたいとするものだ。例えば、より経済規模の大きいA県に本社を置き、放送はそこから流す。そのうえで、テレビ局が合併されたB県、C県には支社を置き、その地域の取材機能などは残すといったイメージだ。
多くの地方局は、テレビ朝日だけでなく日本テレビやTBS、フジテレビのキー局を中心とした系列ネットワークに所属する。地方局が自社制作する番組は平均10%程度で、放送される番組の大半はキー局が制作するドラマやバラエティなどが全国に向けて流されている。また、キー局は多くの場合、地方局の株式を保有しており、各局の系列内における合併をすでに視野に入れ準備している。何故なら、キー局にとってネットワークの重要な役割を担う地方局が苦しい経営事情をかかえている背景があるからだ。2020年度の114局ある地方局の売上高は5933億円で16%減少している。営業利益は1社あたり5億円程度あった計算だったが、2020年度には1億円にまで落ち込んでいる。2020年度は新型コロナの影響もあり、テレビを運営する放送局のうち20社が最終赤字になるようだ。
地方局はキー局にとって全国ネットワークを維持する生命線であり、ネットワークできなければ広告収入に響く。ネットや動画配信の普及などによって娯楽は多様化し、今後もテレビ広告収入は落ち込んでいく。加えて、10年から15年に1度、放送設備の更新が必要で、その費用負担は地方局に重くのしかかる。仮に、広告収入の低下が続けば、その重い費用負担に耐えられず営業が続けられない地方局が発生する可能性もある。
複数地域での放送に変わると、広告という面でみると、単一地域でしか事業を行っていない地場企業が、テレビ広告を出稿し続けることは困難になる。ナショナルクライアントに対しても、放送地域が例えば3県になった場合、今までの3県分を足し合わせた広告単価を維持できる保証はない。その点でキー局としても収入への悪影響は消せていない。
先日、総務省の有識者会議で放送の将来像や制度のあり方についての考えが取りまとめられた。①山間部などの難視聴地域に、放送波ではなくネット回線で番組を送れるようにする②キー局を中心にしたグループが傘下に置ける都道府県の数の制限をなくす③県域を越えて同じ放送をすることを認めるなどが盛り込まれた。総務省の管理下にあり自由に戦略を実行できないキー局と地方局が対策として打つ手は限られている。テレビの社会的責務とビジネスとしての存在意義に立ち返り戦略をたてる必要がある。Netflixも広告を入れるフリーミアムに戦略変更を準備している。ネットなど他メディアとの競争に対抗するには、できない理由を考えるより、何をすれば生き残り競争に打ち勝てるのか決定し早急に実行する時にきている。
タレントCMのリスク
「週刊新潮」が9月1日号で銀座のクラブでの香川照之による女性への乱暴を報じた。接客を担当した女性への性的暴走だ。被害女性は香川の暴走を止めなかったという理由で、クラブのママを東京地裁に訴えたが、その後、損害賠償請求訴訟を取り下げている。騒動は3年前のことで、そもそも香川さんに対しての訴訟ではなく、しかもその訴訟はすでに取り下げられていた。だが、香川さんがMCを務めるワイドショー金曜日の「THE TIME,」での謝罪だけで済まず、CMからの降板につながっていった。誰も過去の行為は取り返せない。何故、今頃この不祥事がでてきたのか。広告会社はタレントを推す場合、身辺調査はしていると思うのだが。
最近のCMは多数のタレントを使いシリーズ形式が増えている。一人のタレントの不祥事で被害も増える。香川さんは人気があり、多くのの有名企業がCMに起用していた。その多くは広告素材を多く持っている企業であったこともあり、CM素材差し替えに混乱はなかったようだ。もし、差し替え素材がなければ、多くの場合ACの公共広告が流れることになる。テレビ局や広告会社には被害が広がらないようにコンティンジェンシープランとしてACの公共広告は機能する。一方、広告主にとってはコンティンジェンシープランとしてACの公共広告だけでは十分ではない。タレント契約を行う上で契約書に不祥事での違約条項があるが、タレントを降ろして違約金を得たところで広告イメージの損失は埋まらない。香川さんとトヨタの場合、トヨタイムス編集長として社長との共演もありトヨタの顔でもあった点で残念な結果となった。
タレント広告は多くの場合タレントの演技力で興味をひく力はあるが、実感が伴わない共感性に問題がある。CM制作においてまずタレントを決めてCM内容を決めるなどしている広告主は少ないと思うが、タレントの芸風と合わせたCMを多々見ると何を伝えようとしてるのと思うことがある。広告主が言いたいことだけを言うのでなく、価値ある情報を受け取ってもらえるように伝わるCMを作る。それがコミュニケーションだ。広告主は、何故広告をするのかの本来の原点にかえりタレントなしでも成り立つ広告作りをする必要がある。
今回も岸田政府批判中心になってしまった点は、ご容赦いただきたい。英国では40代の女性首相が誕生した。日本の政治も経済も40代(せめて50代)が中心に動くようになると良いのだが。
以前の記事「爺の雑言14 – 誇大広告」
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