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MMMで効果測定から意思決定へ 成果を生むデータ活用法
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MMMで効果測定から意思決定へ 成果を生むデータ活用法
MMMで効果測定から意思決定へ 成果を生むデータ活用法

MMM(Marketing Mix Modeling)は、マーケティング活動が売上にどれだけ貢献しているかを可視化できる、強力な効果測定手法です。近年はCookie規制の影響もあり、再び注目を集めています。
しかし、多くの企業が直面するのは「結果は出たが、それをどう意思決定に活かせばいいのか分からない」という課題です。せっかく時間とコストをかけて分析しても、活用されなければ単なるレポートで終わってしまいます。
MMMの真の価値は、分析そのものではなく、そのアウトプットを「予算配分」「施策改善」「組織の共通言語」といった実務に落とし込み、次の打ち手につなげることにあります。
本記事では、MMMの結果を経営判断や現場の施策に結びつけ、成果へと変えるための具体的な3つのステップをご紹介します。
「予算配分」への活用法
MMMの最も代表的な成果は、チャネルごとのROI(投資収益率)や売上貢献度を可視化できる点です。これは経営層が最も関心を持つ情報であり、MMMの最大の強みと言えるでしょう。
ただし、数字を報告するだけでは意味がありません。重要なのは、その結果を経営判断につなげることです。ここでは、活用の代表的な2つの方法を紹介します。
最適な予算ミックスの再設計
MMMによって、各チャネルのROIが明らかになると、ROIの低いチャネルから高いチャネルへ予算を再配分できます。
例えば、これまでテレビCMに多くの予算を投じていたが、分析の結果、デジタル広告の方が高ROIであることが分かったとします。その場合、
- デジタル広告の予算を20%増やす
- テレビCMは10%減らす
といった具体的な配分変更が可能です。こうした調整により、同じ予算規模でも投資効果を最大化できます。
「もしも」のシミュレーション
MMMは、過去データをもとに未来を予測するモデリング手法でもあります。これを活用することで、
- もしウェブ広告の予算を30%増やしたら、売上はどれだけ伸びるか?
- もしテレビCMを半分にしたら、どの程度の影響があるか?
といったシナリオ分析が可能です。
こうした定量的なシミュレーション結果を提示すれば、経営層にとっても納得感が高く、大胆な意思決定を後押しできます。
「施策改善」へのフィードバック
MMMは、マーケティング全体を俯瞰するマクロな羅針盤です。しかし、その結果だけでは、現場の運用担当者が「明日から何を変えるべきか」を判断するのは難しいのが実情です。
そこで、MMMの結果をMTA(マルチタッチアトリビューション)やA/Bテストといったミクロな分析手法と組み合わせることが不可欠になります。
施策の方向性を定める
例えば、MMMの分析で「デジタル広告の中でもSNS広告のROIが高い」という結果が出たとします。この洞察は、現場にとって「SNS広告に注力すべきだ」という大枠の指針となります。
具体的な連携フロー
- MMM:マクロ視点で「デジタル広告への投資を強化すべき」と判断。
- MTA:さらにSNS広告の中でも「Instagram広告が特に高い貢献度を持つ」ことを特定。
- A/Bテスト:Instagram広告で複数の動画クリエイティブを比較し、最も効果的なパターンを発見。
このように、MMMで方向性を決め、MTAでチャネルを深掘りし、A/Bテストでクリエイティブを最適化することで、戦略から戦術までをシームレスにつなげることが可能になります。
MMMとミクロな手法は対立するものではなく、むしろ相互補完の関係です。両者を組み合わせることで、現場のPDCAサイクルはスピードと精度を同時に高められ、施策改善がより効果的に進むのです。
「意思決定の共通言語」としてのMMM
MMMのもう一つの重要な役割は、部署間のコミュニケーションを円滑にする「共通言語」となることです。
これまでのマーケティング分析は、専門部署だけで完結しがちでした。そのため、他部門との意思疎通は「感覚的な説明」に依存し、経営層や営業部門に十分に理解されないまま予算配分や戦略が決まってしまうケースも少なくありません。
MMMは、客観的なデータに基づき「どの施策がどれだけ売上に貢献したのか」を可視化します。これにより、マーケティング部門だけでなく、経営層、営業、広報など異なる部門が同じデータを基盤に議論できるようになります。
活用例
- 経営層:中長期的な事業戦略や予算策定の根拠としてMMMを活用し、全社的なリソース配分を決定。
- マーケティング現場:MMMの結果を「日々の運用指針」として活用し、具体的な施策改善に接続。
- 他部門:営業部門はMMMのデータを参考にマーケティング施策との連携を強化。広報部門はMMMで示された貢献度を踏まえたメッセージ戦略を検討。
例えば、マーケティング部門が「SNS広告の予算を増やしたい」と提案する場面を考えましょう。従来なら感覚的な根拠にとどまり、経営層の理解を得にくかったかもしれません。しかし、MMMの分析結果で「SNS広告のROIが最も高い」と明確なデータを示せば、議論は一気に建設的になります。
このようにMMMは、単なる分析ツールにとどまらず、組織全体をデータドリブンな意思決定へ導くためのコミュニケーション基盤としても機能するのです。
まとめ

分析はスタートライン。実務に活かしてこそ意味がある
本記事では、MMM(Marketing Mix Modeling)が「分析」そのものを目的とするのではなく、その結果を意思決定に活かすことで初めて真価を発揮することを解説しました。
- 経営層を動かす根拠に:ROIや貢献度を明確に示すことで、最適な予算配分や投資判断を後押しできる。
- 現場の改善サイクルを加速:MMMが示す大局的な方向性を、MTAやA/Bテストと組み合わせることで、日々の運用改善がスピーディかつ効率的に進む。
- 組織の共通言語に:MMMは部署をまたぐ客観的な基盤となり、経営層から現場まで、同じ指標で議論できる環境をつくる。
MMMの導入は、強力な分析モデルを得るだけでなく、組織全体をデータドリブンな文化へ変革する第一歩です。分析を「やって終わり」にせず、実務に落とし込み、成果へと結びつけてこそ投資の価値が生まれます。
ぜひMMMを、単なるレポートではなく、次の成長を生み出すための意思決定のエンジンとして活用してください。
参考
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