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ディープフェイクがマーケティングへ与える影響

ディープフェイクがマーケティングへ与える影響

投稿日:2022年4月5日/更新日:2022年4月5日

ディープフェイクは近年急速に発展している技術の一つです。最近ではウクライナ大統領ゼレンスキー氏のディープフェイク動画が一時拡散されるなど、悪質な活用法に注目が集まっています。一方で、もちろんポジティブな活用法も存在します。本記事ではそのポジティブな面に着目し、事例を通しマーケティング活用について深堀していきたいと思います。

 

ディープフェイクとは

最近では馴染み深い概念になりつつあるディープフェイクですが、案外誤用されている可能性もあるので説明を挟みたいと思います。

ディープフェイクとは、ディープラーニング(深層学習)技術を利用した合成メディア生成技術のことを指します。例えば、動画内の人の顔を別の人のものとすり替えてあたかもその人が発言しているように見せかけるなど、フェイク動画に用いられます。このように、画像や動画の一部を別のものとすり替える「技術」をディープフェイクと呼びますが、最近ではそういった合成メディア、アウトプットとしての動画をディープフェイクと呼ぶケースも増えています。また、最近では音声をその人物のものに寄せる技術も進歩しており、素人目では本物と見分けがつかなくなってきています。

 

マーケティングにおける活用事例

参加型マーケティング

ディープフェイクと聞くと難しい技術で我々に馴染みのないもののように聞こえますが、そういうわけでもありません。例えば、カメラアプリなどで利用することのできる「フェイススワップ」などもディープフェイクに分類することができるでしょう。過去には映画業界でもこの技術を用いたマーケティングが行われていました(詳しくは本記事下部の参考リンクに記載されています)。自分の顔写真を撮影し、Web上に写真をアップロードすると映画の予告動画に自身を登場させることができるというもので、ディープフェイクの汎用性が伺えます。また、その動画をユーザーがSNS等で拡散することで、革新性も相まって更なる宣伝効果が見込めるでしょう。

インフルエンサーマーケティング

タレントを起用して製品の宣伝を行ってもらうインフルエンサーマーケティングは、顧客の購買意欲を高めるにあたり非常に効果的な施策でしょう。ディープフェイクを用いるとインフルエンサーマーケティングにおける可能性はさらに広がることが予想されています。具体的に言うと、宣伝する人物の顔を発信力のある人のものにすり替えることなどが挙げられます。忙しくて撮影ができないといった問題もこの技術があれば克服することができ、技術が発展するとそれが一般化するかもしれません。また、技術を用いて言語や性別の壁を乗り越えることも可能でしょう。一方で、それを行う際にはもちろん許可を取る必要があるでしょう。

また、少し異なりますが最近ではそれらの技術を利用したバーチャルインスタグラマー、架空のインフルエンサーが存在します。そのほかにもAI技術を用いて肖像権や著作権のない架空の人物を生成できるサービスも存在し、近い未来にはインフルエンサーに実体が必要なくなるかもしれません。

 

問題点

近年発達途中のディープフェイクですが、問題点は存在し、その中でもやはり倫理の問題が第一に上がるでしょう。というのも、ディープフェイクにまつわる法律や規制は一部曖昧な部分が存在し、扱う際にはしっかりと善悪を意識する必要があります。例えば、上記でも取り上げたような「著名なインフルエンサーが宣伝しているように見せる動画」を無断で作成することは肖像権の侵害に当たり許されることではないでしょう。

 

まとめ

ディープフェイクというと悪い部分ばかりが注目され、危険な技術のように考えられがちですが、今回紹介したようにポジティブな用途ももちろん存在し、また意外と身近な場面で用いられていることも理解できたと思います。ディープフェイクは発展途中の技術であり、それにまつわる法律や規制もしっかりとまだ定められていない部分はありますが、今後はより我々マーケターにとっても便利なものとなってくるでしょう。

 

参考:

日経 X Trend “AIが作り出すディープフェイクでヒュー・ジャックマンと共演!?

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