今だからこそ注目されるオフライン広告の魅力とは
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廃止されるクッキーに代わるデータクリーンルームとは?
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廃止されるクッキーに代わるデータクリーンルームとは?
廃止されるクッキーに代わるデータクリーンルームとは?
GoogleのウェブブラウザであるGoogle Chromeにおいてサードパーティークッキーが廃止されるまで残り1年余りとなったいま、その影響はデジタルマーケティングや広告業界を悩ませています。Googleのサードパーティークッキーの撤廃は近年の消費者のオンライン上でのプライバシー保護の観点から決断されたものでしたが、その結果ブランドやデジタルメディア企業がターゲティング広告やその効果測定を行うために何十年も使用してきた主要なメカニズムを失うことになります。
サードパーティークッキーが撤廃された後、広告主はどのようにして出稿する広告の費用対効果を測定すればよいのでしょうか。他方で広告掲載先、いわゆるパブリッシャーの方は自らのサイトにおける訪問者数などの広告先としての価値を示す値をどのように算出していけばよいのでしょうか。サードパーティーデータの入手先としてGoogleやFacebookに依存することや指標の計測・計算方法のロジックが不明瞭でブラックボックスのようなAdTechツールを導入することは、パブリッシャーとしては避けたいところです。
そこで、実際に有効なクッキーの代替品として注目されているのがデータクリーンルームという考え方です。
アトリビューション分析の終焉
今までマーケターは広告の費用が主な分析指標(コンバージョン、売上、予約数など)の値にどう影響するかを分析するのに、アトリビューションを行ってきました。アトリビューションとは、コンバージョンまでのユーザーの行動経路の途中にある複数の接点を観察し、特定の方法でそれぞれの接点にコンバージョン達成への貢献度を割り当てるという考え方に基づく分析のことを言います。
しかし、サードパーティークッキーの廃止によってアトリビューション分析は終焉を迎えることになります。なぜならアトリビューションが広告の表示とコンバージョンという2つを接点としてつなげるために、サードパーティークッキーのデータに大きく頼っているためです。広告表示とコンバージョン達成という重要な2つの地点におけるデータは、多くの場合にそれぞれ所有する持ち主や場所が異なるため、サードパーティークッキーなしでは2つのデータを結合させることが極めて難しくなることが予想されます。
データ―クリーンルームの登場
データ―クリーンルームとは簡単に言えば、顧客を特定できるような個人情報を外部に渡すことなく、広告を出稿する企業やブランドとパブリッシャーがそれぞれ持つ一次データとその他の信頼できるパートナー企業等が持つ二次データを共有し結合できる、中立的でプライバシーの保護されるシステムのことです。
データクリーンルームを導入することで、今まで測定方法が不明確で信頼性に欠けていたサードパーティーに頼らずに、より近い信憑性のあるデータを基に広告パフォーマンスを分析することができます。広告表示からコンバージョンまでの全体的な流れをより深く把握することにつながります。さらに、このようなクリーンルームは、データが特定の目的にのみに使用されることを保証し、ブランドのコントロールから離れないように設計されています。
データクリーンルームの仕組み
複数のチャネルを結合するのデータクリーンルームは、企業やブランド、パブリッシャー等のマーケティングと広告業界の異なるプレイヤー間の直接的なパートナーシップを要します。データクリーンルームがパートナーシップによってどのようにプライバシー保護を達成するかを簡単にまとめると以下のようになります。
- 従来の複数の提供者からの出所不明なサードパーティーデータの総計に代わり、ブランドの持つ1次データを信頼できるパートナー(企業またはパブリッシャー等)が持つ2次データと結合させたものを使用する
- 双方の顧客データをデータクリーンルームで一方向ハッシュ関数を用いた識別方法によって整合する
- パートナーとなる企業等に顧客が特定されるような個人情報が渡らないために、スードニマイゼーション(仮名化)やアクセス制限、差分プライバシー、ノイズインジェクションなどのプライバシーを守るためのテクニックが使われている
- 個人データ(誰が〇〇をしたか?)ではなく、集約的データ(何人の顧客が〇〇をした?)のみサーチできる
データクリーンルームの応用事例 – 消費財メーカーと小売店のパートナーシップ
プライバシーの保護を第一とした顧客データの収集は、その需要と競争的なメリットから新たな常識になりつつあります。データクリーンルームを活用する事例は業界によって様々存在しますが、そのような事例の1つに消費財メーカーと小売店があります。
消費財メーカーは、顧客と直接関わることがなくトランザクションに関するデータをほとんど持っていないため、これまで顧客データに乏しい業界として知られていました。そして今、サードパーティークッキーを使用してい得ていた代理のデータも、失うことになります。
そこで、メーカーは自社の商品を販売する小売店とパートナーシップを組みます。そして自社のマーケティングや広告の費用に関するオーディエンスデータを、小売店が持つトランザクションデータとデータクリーンルームの環境で結合させます。顧客の個人情報を晒さずに、複数の販促キャンペーンの効果の比較やターゲティング・セグメンテーションの改善などにつながるインサイトが得られます。
このパートナーシップは、メーカーだけでなく小売店側にもメリットがあります。メーカーのマーケティングの中でも小売店での販売の促進させるキャンペーンは、メーカーだけでなくお店の売上にも大きなインパクトをもたらす一方で、その効果は気づきにくいものです。トランザクションデータを共有することで、どの商品にどのような形でマーケティング費用を分配するべきかという情報を提供することができます。また、小売店側にロイヤルティプログラムなどより深いトランザクションデータが得られる仕組みがあれば、尚更です。
サードパーティークッキーの廃止が1年未満となった今、ブランドは将来を見通し先手を打つ必要があります。顧客のプライバシーの保護に対する意識がますます強まる中で、データクリーンルームという新たな選択肢を考える必要があります。
参考:Forbes “Data Clean Rooms: The Key To Post-Cookie Impact Measurement” / Cory Munchbach
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