現状 アドフラウド の根絶はなかなか難しい。
ドメインなりすまし、無価値なトラフィック送信、広告在庫タイプの偽装などの従来型の手口が残り続けているのが現状。
では何が原因なのでしょうか?
こうした従来のタイプのアドフラウドがいまもなくならない背景には、ブランドセーフティの重視やヘッダー入札の普及などの、最近の業界トレンドが関わっている様です。
今回は残り続けている手口のいくつかを見ていきましょう。
ドメインなりすまし
これは、悪徳パブリッシャーが、アドエクスチェンジで自社メディアのURLを偽装することであり、価値がないインプレッションを広告枠のバイヤーに高く買わせる手口です。
つまり、本物のWebサイト名に似せた偽Webサイトを構築し、前者からトラフィックを引き寄せ、広告主に対し、偽サイトでの広告掲載への入札を勧めます。
その結果、掲載された広告をクリックすると、広告主が希望した本物のWebサイトの代わりにまったく別の偽Webサイトが開く仕組みです。
そんな中でなりすましに対抗する有効な1つの手段としてSSL証明書があげられます。
悪徳パブリッシャーは、偽のドメインを登録することに加え、偽Webサイトに対する偽SSL証明書を登録する必要があるためです。
フィナンシャル・タイムズ(Financial Times、以下FT)は、自社の動画広告在庫をプログラマティック取引で販売していないにもかかわらず、ft.comになりすました動画広告在庫が15のサプライサイドプラットフォーム(SSP)で販売されていることを突き止めた。
同社によると、被害額は推定で月100万ポンド(約1.5億円)だそうだ。
そのためアドテク企業オース(Oath)、スポットX(SpotX)、フリーホイール(FreeWheel)、ビッドスイッチ(BidSwitch)の4社に対し、ft.comになりすました動画広告在庫を販売しないように要請した。
広告詐欺検出サービスWhiteOpsのCEOであるMichaelTiffanyは、ヘッダー入札の人気がドメインスプーフィングの増加につながっていると述べました。
彼らは米国で6,000を超えるなりすましをしたとされるパブリッシャーの【Methbot】の手法を発見して以降、注目を集めています。
ヘッダー入札が普及する以前は、パブリッシャーは在庫広告の販売時に個別にSSPにコールをかけていました。
つまり、複数のSSPが一度に入札を行ったわけではないため、個別に在庫にアクセスできました。
これにより、広告購入者は、どのSSPが特定のサイト運営者と直接連携しているかを知っていたため、ドメインのなりすましに対するチェックを行うことができました。
しかし、ヘッダー入札を使用すると、パブリッシャーは多数のSSPに同時に広告をコールすることができるようになりました。
在庫の値上げとの競争を激化させるために、ヘッダー入札を使用しているパブリッシャーは、ブラウザにさらに多くのSSPをロードし始めました。
これにより、特定のSSPが個別に在庫にアクセスできる可能性が低くなり、購入者が健全性チェックをすることができなくなりました。
「ヘッダー入札には多くの魅力があると思いますが、ドメインスプーフィングを行う敵の攻撃対象領域が増えるため、従来の詐欺も息を吹き返した」とTiffany氏は述べている。
広告在庫タイプの偽装
アドベリフィケーション企業ダブルベリファイ(DoubleVerify)によると、アドフラウドは、動画広告ではディスプレイ広告の2倍の頻度で発生しているという。
あるバイヤーは、ディスプレイ広告のCPM(広告表示1000回あたりの料金)が2~6ドルであるのに対し、動画広告のCPMは12~20ドルであると言っている。
このように動画広告のCPMがディスプレイ広告の倍以上の価値であるため、ディスプレイ広告在庫を動画広告在庫に偽装し、差額分をだまし取る行為が横行しているようだ。
ロケットフューエル(Rocket Fuel)とインテグラル・アド・サイエンス(Integral Ad Science)が共同で発表した調査結果によると、動画広告在庫の最大70パーセントが、この手口によって偽装されているという。
反社会的勢力の資金源に
現在、ブランドイメージが毀損されることを防ぐことが非常に重要視されている。
と言うのも、差別主義的コンテンツへのブランド広告出稿をスクリーンショットによりSNS上で告発する人やフェイクニュースへの関心が高まっているからである。
そのため一部のマーケターは、ホワイトリストやブラックリストなどのツールをより積極的に利用することで、広告費を反社会的勢力に渡さないように努めているのが現状です。
しかし、ブランドセーフティの取り組みは依然として解決していません。
ポルノやヘイトスピーチのサイトは、ブランド広告を獲得し、掲載することができなくなってきたために、中間業者となりつつあるようです。
そしてその結果、広告費がどこでむしり取られているのか分からなくなっているようです。
そしてこれらの中間業者が従来の広告詐欺の手口を利用しているのです。
広告主は、広告の出稿先を考慮し、オーディエンスをターゲティングしたり、怪しい動画広告在庫は買わないようにすることにより、アドフラウドの被害に遭う可能性を減らすことができる。
また、出稿先のサイトを絞り込むことも有効になるかもしれない。
Blast from the past: Why old ad fraud tactics won’t die – Digiday