ダイナミックプライシングとその可能性

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ダイナミックプライシングという言葉を耳にしたことがあるでしょうか。ダイナミックプライシングとは、同じ商品やサービスでも、その時の需要と供給に合わせて価格を変動的に設定することです。昨年から様々な業界・企業でダイナミックプライシング導入が検討、実行されています。これまでも集客によって売り上げが伸びる商品やサービスの価格設定では、需要量に合わせた価格設定が行われてきました。その代表的な例として、航空券があります。夏休みやGW、年末年始などの旅行への需要が高い時期は、他の時期と比べて特に高くなります。では、ダイナミックプライシングとはこのような変動的プライシングと具体的にどのように異なるのでしょうか。ダイナミックプライシングの概要と収益増加への可能性について見ていきます。

これまでの変動的プライシング

航空券の例のように、時期や時間帯によって値段が変わるというシステムは以前から私たちの身近に存在していました。スーパーやパン屋の閉店前の値下げや居酒屋のハッピーアワー、映画館の平日割引などです。変動的プライシングは、販売者のこれまでの経験から学んだ消費者の需要の変化を価格に反映させ、収益の最大化させることが目的です。

ダイナミックプライシングとは

変動的プライシングとの違い

ダイナミックプライシングは、変動的プライシングと異なり、高頻度で価格が変動します。なぜなら、販売者の知見や感覚などの定性的判断に基づいた需要の変化に対して、ダイナミックプライシングは蓄積されたビッグデータから算出した需要の変化をもとに設定されるからです。そのため、需要の変化がより細かく分析され、それに合わせて価格が動的(ダイナミック)に設定され、高頻度で変化します。

デジタルの発達によって可能になった

ダイナミックプライシングというシステムが生まれた背景には、デジタルの発達があります。デジタル技術によって、収集されたビッグデータから商品やサービスの人気度(需要)を可視化されます。それに合わせた価格をリアルタイムで設定変更できるようになったのです。需要と供給を分析した上で、適正価格を設定することこそ、ダイナミックプライシングの役割なのです。

ダイナミックプライシングのメリット

このように、需要の細かい変動に合わせて価格を変動させることには以下のようなメリットがあります。

  • 価格の最適化による企業の収益の最大化
  • 商品の売れ残りの削減
  • サービス提供時の混雑緩和
ダイナミックプライシングのデメリット

メリットがあれば、必ずデメリットもあります。ダイナミックプライシングの大きなデメリットとして、顧客の信頼低下が挙げられます。消費者の立場から見ると、同じ商品なのに時期によって価格が異なることに違和感を感じる人いるかもしれません。なぜなら、価格とは本来顧客に対して商品が持つ価値であり、商品そのものの価値が反映されなければなりません。商品そのものの価値を無視して、需要が高いからという理由だけで価格を上げることは、消費者の信頼を低下させることにつながります。

例えば、ホテルの宿泊料金。需要の高い連休中だからと言って、ホテルが提供するサービスや部屋の質などに見合わない値段を設定すると、顧客は騙された気分になり、「もうこのホテルは選ばない」と思うかもしれません。結果的に、将来的な損失につながります。

ダイナミックプライシングの実例

これまでダイナミックプライシングと言えば、航空券やホテルなどシーズンごとに決まって需要が変わる商品やサービスが中心でした。しかし、近年は日にちや時間ごとのより細かい需要の変化をとらえることができるため、様々な業界や分野でダイナミックプライシングの導入が検討されています。

LAWSON 食品ロス削減を叶えるダイナミックプライシング

大手コンビニエンスストアのLAWSONは昨年、個々の商品に電子タグをつけることで、会計の際に商品の賞味期限が把握され、それによって価格が変動的に設定されるシステムの実証実験を行いました。コンビニ業界では、サプライチェーンの中での食品ロスが昨今の共通の課題となっています。その解決策として、ダイナミックプライシングによる需要のコントロールを目指しています。

エイベックスエンターテイメント ライブチケットにダイナミックプライシングを導入

ライブコンサートの運営などを行っているエイベックスエンターテイメントは、三井物産子会社ダイナミックプラスと手を組み、ライブコンサートチケットの価格設定にダイナミックプライシングを導入を目指しています。チケットの需要は、様々な要因が影響しています。チケットが購入される次期や需要、市況、天候などに関するビッグデータを活用し、AI技術によってリアルタイムで最適な価格設定を行うシステムの開発を行っています。

☞プライシングに関するその他の記事はこちら「購入者ベースの価格設定

 

参考:「ダイナミックプライシングと行動経済学」(https://note.com/yoshida_method/n/n72320498c0c6

「ローソン、電子タグを用いた実証実験開始 店舗でのダイナミックプライシングやターゲティング広告を実施」(https://markezine.jp/article/detail/30361

「エイベックス・エンタテインメントと三井物産子会社が提携 音楽領域にダイナミックプライシングを導入へ」(https://markezine.jp/article/detail/31295