パーソナライゼーションへの3つの要素

アメリカの自動車メーカーの創業者であるヘンリー・フォードが、自動車の大量生産を実現するため、工場にベルトコンベア=システムを導入したのは、1913年のことでした。それは、大量生産経済の幕開けとされ、大量に生産すればするほど、製造にかかるコストが下がるという考え方に基づいていました。しかし今、その大量生産・大量消費の時代が、終わりを迎えています。市場にモノが溢れている現代では、消費者一人一人のニーズに合わせた商品が売れるという傾向に変わっています。つまりそれは、個人のニーズに合わせてカスタマイズする、パーソナライゼーションという考え方です。

マス・パーソナライゼーション

ビジネスは、大量生産(Mass Production)からマス・パーソナライゼーション(Mass Personalization)に移っています。マス・パーソナライゼーションとは、直訳すると「大量の個人化」を意味します。多くの消費者に対して、その一人一人のニーズや好みに合った商品を提供しようという考え方です。大量のパーソナライゼーションを行うには、多くのデータを必要とします。消費者は企業に自身についての様々なデータを提供する代わりに、企業は消費者にカスタマイズされた価値を作るという交換によって、マス・パーソナライゼーションは成立します。

マス・パーソナライゼーションのための3つの要素

マス・パーソナライゼーションには、消費者一人一人のニーズを理解することが必要不可欠です。では、個人個人のニーズを明確に知るためには、どのようにマーケティングを行えば良いのでしょうか。

①知識

企業やブランドが消費者について理解するためには、消費者に関する知識を集める必要があります。自社が持つ顧客やその他消費者の購入履歴やウェブサイトへの訪問履歴などのデータは、消費者に関する有効なデータです。例えば、ホテルチェーンであれば、顧客の宿泊履歴からその人の部屋や食事の好みなどが分かります。しかし、自社が持つデータから得られる情報だけでは、顧客の本当のライフスタイルやニーズを漏れなく把握できるとは言えません。そのため、ブランドの外側にある消費者の生活についての知識を得ることが重要です。また、そうした情報を倫理的に収集し、保護することにも注意しなければなりません。

顧客分析の方法ついては、こちら:

マーケティングで強いアイディアを生みだす方法:「N1分析」

顧客プロファイリングの基本

②アイデンティティ

しっかりと効果のあるマス・パーソナライゼーションを行うためには、企業やブランドのアイデンティティを確立することが大切です。なぜなら、ブランドのアイデンティティが、ターゲットとするのに最適な消費者を決定するための指針となるからです。アイデンティティを確立するには、ブランドに一貫性を持たせることが重要です。

強いブランド力を持つ企業として有名なのが、スポーツブランドのNikeです。Nikeは、”Just Do It”というスローガンが象徴的で、近年はブランドのファッション性が注目されています。しかし、Nikeはファッション性に傾くことなく、スポーツブランドであり、アスリートのパフォーマンス向上をさせるという本来のスタンスを持ち続けています。

このようにブランドの一貫性を意識することは、最適な顧客ターゲットを個人レベルで理解する上で重要なポイントになります。

③機械学習

顧客一人一人のパーソナライゼーションを行うためには、膨大な量の情報とそれらをリアルタイムで処理しながら、常に最新のものにアップデートする能力が必要です。それを可能にするのが、機械学習です。機械学習によって、集められたダイナミックな情報を無駄なく効率的に分析し、より良いパーソナライゼーションにするための新たな発見や学びを得ることができます。

また、ブランドが顧客に対して発信するメッセージを顧客の情報に合わせて、リアルタイムに変更・更新することができるようになります。特に、プロモーションなど、タイミングによって効果が大きく左右されるものに対して、機械学習の活用が進んでいます。

マーケティングでのAI活用についてはこちら:AIで仕事効率化

参考:Adweek “The 4 Ingredients You Need to Mass Communication to Mass Personalization”(https://www.adweek.com/partner-articles/the-4-ingredients-you-need-to-move-from-mass-communication-to-mass-personalization/