リサイクル性による新たなビジネスモデル

消費者が倫理面に配慮したエシカルなブランドを選ぶ傾向が高まっています。その中で、サステナビリティに特に力を入れているのが、ファッション・アパレル業界です。商品の素材や生産工程、生産量などの多角的な面での自然環境への影響を見直しています。このようなアパレル業界における最先端の取り組みは、他の業界におけるサステイナビリティ性を高めるためのヒントになります。今回は、アパレル業界における素材のリサイクル性を追求した先にある、新たなビジネスモデルの可能性について紹介します。

商品の素材を工夫する

サステイナビリティといえば、近年プラスチックによる海洋汚染が大きな問題となっています。それを受けて、日本でもプラスチックを減らすために、レジ袋有料化やパッケージの簡素化・素材変更が進んでいます。商品の素材は、様々な業界で通じる観点であり、サステイナビリティに関わる上で初めに着目すべきポイントです。

スポーツアパレルブランドのNikeは、古くなったスニーカーなどをスポーツ施設のグラウンドなどの床材にリサイクルできる、「Grind」という素材を開発しています。屋外のバスケットコート、サッカー場の人工芝などに使われます。また、同じくシューズを生産するブランドであるVivoBarefootは、池や湖などで大量発生した藻類やトウモロコシを原料とした素材を使った商品を開発しています。化学原料ではなく、植物からできる原料と使用することで、環境への被害を最小限にする取り組みが行われています。

 

Adidasの100%リサイクル可能なシューズ

世界的スポーツアパレルブランドであるAdidasは昨年、完全にリサイクル可能なランニングシューズを開発しました。これは、世界的にランニングシューズが大量の廃棄物につながっているという現状を改善するものとされています。ランニングシューズは、ある意味では消耗品であり、毎年世界で10億足以上が生産され、履きつぶれてゴミとして廃棄されています。

開発された100%再生可能なランニングシューズ「FUTURECRAFT.LOOP」は、普通のランニングシューズと形は変わりません。しかし、従来のAdidasのランニングシューズが、12種類の素材で作られているのに対して、FUTURECRAFT.LOOPは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)という原料のみが使われています。全てのパーツがTPUで作られているため、使われなくなった際には、洗浄して溶かすことで、また新たなシューズを生産するための原料として生まれ変わることができるのです。

2012年のアメリカのマサチューセッツ工科大学の調査によると、一般的なランニングシューズは約65のパーツから形成されている中で、リサイクル可能な素材でできているものはゼロであったという結果があります。Adidasの完全リサイクル可能な商品の開発は、このような実態を変えつつあります。

リサイクル可能な商品開発の先にあるサブスクリプションビジネスの可能性

Adidasは、開発されたランニングシューズをもとに、スニーカーなどの他のタイプのシューズにもTPUなどの再生可能な原料を使うことを目指しています。実現にはまだ時間がかかるかもしれませんが、幅広いジャンルのシューズがリサイクルできるようになれば、シューズをサブスクリプションするという時代が訪れる可能性を秘めています。例えば、シューズが一定の状態や使用期間、走行距離に達した際に、そのシューズをリサイクルのために送り返すと、新しいシューズが送られてくる、というサブスクリプションモデルができます。

サステイナビリティを意識することで、新たなビジネスのアイディアが生まれるかもしれません。これからの様々なブランドのサステイナビリティへの取り組みに期待したいですね。

参照:

その他ブランドのサステイナビリティへの取り組み例

参考:WIRED「アディダスのリサイクル可能なランニングシューズは、「消費のあり方」を変える可能性を秘めている」(https://wired.jp/2019/04/21/adidas-futurecraft-loop-running-shoe-recycle/