顧客生涯価値から業務リソースを最適化する

今年はコロナウイルス感染拡大の影響もあり、サブスクリプション型のビジネスが勢いを見せています。NetflixやAmazonプライムビデオ、Huluなどの動画サービスはもちろん、Zoomやリモートワークシステムなど企業向けのサブスクリプションの需要も高まっています。サブスクリプションビジネスで特に重要になってくるのが、顧客の獲得以上に「顧客維持」です。一度サブスクリプションを開始した顧客にどのように継続的にサービスを買ってもらうか、ということになります。顧客維持の重要性はサブスクリプションに限ったことではなく、突き詰めると企業の顧客ロイヤルティにつながります。そこで、注目したいのが「顧客生涯価値(カスタマーライフバリュー)」というものです。

顧客生涯価値(カスタマーライフバリュー)とは

顧客生涯価値とは、1人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益のことを指します。それは、将来において顧客から企業へ入るキャッシュフローの現在価値を推定する目安にもなります。顧客生涯価値は基本的に以下のように成り立っています。

顧客生涯価値 =【利益(サービス利用料̠̠-原価)】×【顧客のサービス利用月数/年数】

 

この指標を活用することで企業にもたらされる利点が主に二つあります。

①マーケティングコストの最適化

新たな顧客の獲得のためのマーケティングに使われる費用を最適化することができます。例えば、一人の顧客から獲得できる利益(顧客生涯価値)が10万円であれば、1人の集客にかけるマーケティングコストは10万円以下でなければ、利益が生み出せないことになります。より多くの顧客を集めることはビジネスの初期段階においては、重要な課題です。しかし一般的に、企業の成長につれて顧客獲得率は減少し、反対に顧客維持率が増加することが望ましいとされています。企業がある程度の顧客維持率を保ち、少しずつ向上させることができれば、顧客獲得を目的としたマーケティングにお金と労力をかけずとも、利益を生み出し続けることができるのです。

②ターゲットすべき顧客層の明確化

顧客生涯価値は顧客一人一人の購入する商品やサービスによって異なります。それを分析することで、どの顧客をターゲットとし、営業を行えばもっとも効果的かが明確になります。例えば、企業が過去に商品を購入した顧客を対象に営業やサポートの電話をする際に、ランダムにかけるのではなく、顧客生涯価値の高い方を優先的にかければより高い利益が見込めます。マーケティングアクションは、顧客の思考と行動の二面がありますが、顧客生涯価値の分析によって、行動により大きく影響を受ける顧客を効率よくターゲットにすることができます。

このように顧客生涯価値は、集めた顧客のデータから企業にもたらされる利益を示すものだけでなく、これから企業が成長を続けていくために、どこに労力と費用をかければ最適かを判断する材料でもあります。