効果のあるマーケティングにするために:因果性の検証

企業のマーケティングには様々な側面がありますが、その主な目的は売上の向上です。価格や販売場所の決定、広告宣伝などの業務を通して、より多くの利益を目指します。それと同時に、マーケティングには多大なコストがかかり、企業内でコストセンターと位置付けられることも少なくありません。マーケティングの効果はコストとたらされる利益の増加の比率をみて判断されます。マーケティングコストが高くても、それ以上の利益の増加が得られれば、その施策は効果的で、意味があったものとみなされます。しかし、マーケティングの効果を見極める上で見落としてはいけないのが、マーケティングと売上増加の「因果性」です。

因果性がなければ、実質的な効果はゼロ

例えば、企業がある月の広告費を以前より倍に増やすと、その月の売り上げが増えたとします。しかし、広告費と売上に相関関係がみられたとしても、広告費の増加が直接的に売上アップにつながったということにはなりません。なぜなら、偶然起きたことであったり、他の要因が大きく影響している可能性がおおいにあるからです。広告費増加が売上増加につながるという因果性をきちんと検証することで、マーケティングの効果をより論理的に予測できます。それは、無駄なコストを生む、効果のないマーケティングをしないために大切です。さらに、新しいマーケティングプランの予算を通す際に、他の部署からの同意も受けやすくなります。

因果関係が成り立つ4つの条件

マーケティングが売上の変化を生んだという因果関係が成立するのは、以下の4つの条件を満たしたときです。

  1. マーケティングミックス*の変化が、売上の変化を引き起す
  2. マーケティングミックスに変化がない時、売上は変わらない
  3. 先にマーケティングミックスが変わり、その後に売上に変化が起きるという時間系列になる
  4. その他の条件が一定に保たれている(価格変化や競合相手の商品の変化などがない)

マーケティングの施策が、この4つの項目を満たすかを確かめるために行われるのが効果検証と呼ばれる実験です。

進化するマーケティングの効果検証-ウェブを利用した検証

マーケティングの効果検証では、無作為に抽出された人々が実験群と比較群の2つに、偏りのないようランダムに分けられた上で、それぞれから得られた売上を比較する形で行われます。これまでの基礎実験に基づく効果検証はバイアスのないように実験をデザインする難しさとそれにかかる費用と労力、また検証してから施策を実行するまでに時差が生まれるという課題がありました。

そのため、最近はウェブサイトなどを利用して行う、デジタルな実験方法が広く使われています。その一つには、Amazonなど通販サイトを利用し、売上をモニタリングする方法があります。ウェブを使った実験は、主に以下の3つの特徴により、マーケティング効果検証に大きな進化をもたらしています。

  • 検証にかかるコストが安い
  • 検証にかかる時間が短く、デザインを変更しやすい
  • 複数の検証したい要素(価格、広告内容、商品の質など)を同時に操作できる

また、因果性の検証が終わるまで施策の効果が分からなかったこれまでの基礎実験に対し、ウェブ上の検証ではリアルタイムで動向を観察できるので、施策に効果がないと分かった時点で検証をストップさせることができます。それにより、これまで大部分が固定費とされてきた企業のマーケティングコストにも変化が起きています。

*マーケティングミックス(Marketing Mix):マーケティングの構成要素である、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)およびプロモーション(Promotion)を組み合わせ、施策を立てるマーケティング戦略の一つ。(Wikipedia参照: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9)